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つくしがまき乃をあとにした頃、
司は1人、病室で悶々とした思いを抱えていた。

3人が今日、まき乃にいることはわかっていたからだ。
頼みもしないのに、3人はまき乃に行く時は必ず連絡してくる。

それが怪我で動けない自分への
せめてもの気遣いだという事もわかってはいたが
動けないからこそ、その事実がもどかしい。

もし自分がこうしてる間にも
つくしの心が誰かへと傾いてしまったら?

そう考えるだけで
気がおかしくなりそうな自分に
改めてつくしへの想いの強さを実感していた。

__あいつ以外の女なんて、やっぱり考えられねぇ。


今つくしと過ごす時間が1番多いのは誰かと聞かれれば

この数ヵ月で、遅れた仕事を取り戻すために
今まで以上に時間に追われる毎日の中、
なかなか思うように時間が取れない3人に比べ
入院生活で病院に拘束されている司の元へと
足繁く通ってくれてるのだから間違いなく司だろう。

だけど今のつくしを動かしているのは自分への好意というより
あくまでも怪我を負わせた事への自責の念と義務感からだと
そう思わずにはいられない司にとって自分のいない所で
どんな時間を過ごしているのか気が気でないのだ。

時計を見れば21時を回ろうとしていた。
いつもならとっくにここに来てる頃だが
今日は3人が店にいる。

__今日は来ねぇかもしんねぇな。
そう、心の中で深くため息をついた、その時。

ピロンッ…

ふいに鳴ったスマホを手にすれば
ディスプレイにはLINEのポップアップ。
4人のグループLINEに類がメッセージを送ったらしい。

幼なじみとは言っても
普段からまめに連絡を取り合う事はしない。

特に普段から既読がつくのも遅く、
読んだからといって返事が返ってくるかはその時の気分次第なのが類。
そんな男がわざわざ自分から送るというのは非常に稀な事。

普段とは違う幼なじみの行動にわずかに心拍数が上がる。

「今、まき乃からの帰り」
そのメッセージを開くと同時に

「牧野の気持ちは聞いてきたからさ」
と続けられた類からのメッセージには
ニッコリと笑う絵文字までついていた。

司の心臓がドクンと脈打つ。

わざわざこんなメッセージを送ってくるということは
牧野は類を選んだという事なのか?

そう考える司に追い討ちをかけるように

「もうすぐ牧野がそっちに行く」
「お前も男ならしっかり受け止めてやれよ」

あきらと総二郎からもメッセージが立て続けに届いた。

「わかった」

まさか選ばれたのが自分で、
それを先に知ることとなった3人が
司があらぬ勘違いする事も見越して
このようなメッセージを送ってきたとは
夢にも思っていない司にとってそう返すのが精一杯だった。


それからしばらくしてつくしが司の病室を訪れた時には22時をまわっており、

いつも23時には帰るつくしが
こんな時間にやって来たのはやはり
手短に話を終えたいという事なのかと
司の勘違いはさらに深みにはまっていく。

「類…たちと会ってたんだろ?」
司にそう聞かれたつくしは
つい先ほど3人に司が好きだ、幸せにしたいと
宣言してきた事を思い出して頬を赤く染めた。

その仕草でさえ今の司には
類への好意にしか見えなくて胸が痛む。

それでも照れながらもどこか幸せそうなその笑みを見てしまうと
彼女が幸せなら…と司は覚悟を決める。


「この怪我はお前のせいじゃない。
 お前を守りたくてオレが勝手にやった事だ」

これは司が目が覚めてから何度もつくしへと伝えた言葉。

「だから、いいんだ。
 オレに同情してそばにいなくても。
 お前が好きだって気持ちも
 そばにいてほしいって言葉も嘘じゃねぇぞ。
 だけどな、お前が本当に幸せになるのがオレの望みだ」

つくしには司がどうして突然こんな話を始めたのかはわからない。
だけど、ハッキリと言える事はある。

自分がそばにいるのは
決して同情なんかじゃない。

事件に巻き込んで怪我を負わせてしまった事は
やっぱり申し訳なく思うのだけど
不謹慎だと思いながらも
司の元へと向かう足取りはいつも軽かった。

どんな理由であれ、
司に会えると思うだけで心に温かいものが広がるのだ。


つくしは3人には気を持たせるような事はしたくなくて
自分の気持ちをはっきりと伝えたものの、
司の怪我が治るまでは自分の気持ちを伝えていいのか迷っていた。
リハビリを精力的に頑張る司の邪魔にはなりたくなった。

ただ、そばにいられれば今のつくしには十分だったのだ。
でもこんな顔を見てしまえばつくしの中の迷いも消えた。


そっと司のベッドに歩み寄り、イスに座ると
ベッドの上の司の左手を両手でギュッと握った。

「あたしね…今日、3人に気持ちを伝えてきたの」
まっすぐと曇りのない瞳に見つめられ司は喉を鳴らす。

「…あぁ、類からさっきLINEがきた」

予想もしてなかった司の言葉にドキッとつくしの心臓が高鳴った。

「き…聞いちゃったんですか?」
「…あぁ」

「ど、どう思いました?」
「どうって…それをオレに聞くのかよ」

表情の曇った司を見て、今度はつくしの方があらぬ勘違いにはまっていく。

「…やっぱり、
 まだ早かった…ですよね。ごめんなさい」
「早ぇとか遅ぇの問題じゃねぇだろ」

「道明寺さんの怪我が治るまでは…って思ってたんですけど」
「だからお前のせいじゃねぇって言ってんだろ?
 こんなもんでお前を縛ろうなんて思ってねぇんだ。
 俺に構わず、お前は自由にしろ。類の所にも行っていいんだ」

「…類?どうして類が出て来るの?」
「……」

「え?もしかして類もあたしのせいで怪我してたの?」
「いや、だからお前のせいじゃねぇ…つーか怪我してねぇし。
 …なぁ、牧野、お前。類たちに何を話してきたんだ?」

話が噛み合わない事を疑問に思った司の言葉に
つくしの頬が一気に赤く染まる。

その姿に司は漸く自分の勘違いと
嬉しすぎる真実に気付いて先ほどのLINEを思い返して舌打ちをした。

「くっそ…!あいつらっ!!」

突然舌打ちをし、苦々しい表情を浮かべた司につくしは戸惑いを隠せない。

「え…っと、あの?」
「なぁ…やっぱりお前の口からちゃんと聞きてぇ。
 お前の気持ちが今知りてぇんだ。」

つくしの腕を掴んで懇願するようにつくしに問う。

「え…っと。今、ですか?」
「あぁ。あいつらには言って俺には言わねぇって不公平だろ?」

「でもちゃんと治ってからの方が…」
「言うまで離さねぇぞ」
「え…えぇ?」

司は脅しじゃないとばかりにつくしの腕を掴む手に少し力を入れる。

「…なぁ、オレはすげぇ好きだぞ」

射ぬくような力強い眼差しでつくしを見つめる司の言葉は
つくしの心に心地よく響く。

「あ、あたしも…道明寺さんが好きです」
顔を真っ赤に染めながらもまっすぐに司の目を見て伝えた
つくしの腕を引き寄せるとチュッと触れるだけのキスをした。

唇が離れてすぐ、つくしの目の前にあったのは
まるで少年のように無邪気な司の笑顔だった。



__2週間後。

「よくもまぁ、あんな怪我しといて1ヶ月で退院出来るな」
「司はやっぱ人間じゃなくて野獣だな」
「牧野…ホントに司でいいの?」

「うるせぇぞっ!」

退院の知らせを受け、集まった3人の遠慮のない言葉に
司は額に青筋を浮かべ怒鳴り返している。

「でも、リハビリすごく頑張ってたんですよ?」
そんな4人につくしは苦笑いしか返せずに
すでにほとんど使用人が済ませてしまっていた帰り支度に専念する。

そんなつくしの様子を確認すると

「そりゃ、1日も早く動けるようになりてぇよな?」
と総二郎がニヤりと笑い、それに、つられるように
「あぁ、なるほど。
 明確な目標があればリハビリも意欲的にもなるか」
あきらまで司に意味深な視線を送る。

「バッ…!そんなんじゃねぇよっ!!」
2人が言わんとしてる所に気付いた司は
顔を真っ赤にしながら否定するが
こういう事はムキになればなるほど怪しいもの。

「ん?どうしたの?」
鞄を手にしたつくしが4人の元へと戻ってくると

「なんでもね…っうぉ!なんだよっ!?」
早くこの場から立ち去ろうとする司を
総二郎とあきらが羽交い締めにする。

「まだ完治したわけじゃねぇんだろ?」
「肩貸してやるよ」
つくしから遠ざけるように強引に進んでいく。

「本当に仲良いですよね」
その光景をクスクスと笑いながら見ていたつくしに
そっと近づいてきたのは類。

「牧野…気を付けなよ?あいつ野獣だからね」
「…?」

類の言ったことがよく理解できずに首をかしげたつくしだが

__完全復活したら、あんた骨まで食べられちゃうかもよ?

そう耳打ちされた言葉につくしは
ボンッと音がしそうな勢いで顔を真っ赤にさせた。



~ fin ~


__ふふっ。司、完全復活…させちゃう(・∀・)?

    ってなわけで。次回から【野獣編】!お楽しみに♡
             by Happyending & koma & lemmmon.

司後編
Illustration koma




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Comments 6

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スリーシスターズ  

おはようございます。

司くん入院していたから、他の3人に比べて時間も出来ちゃったから考える時間も増えちゃいましたよね。
自分の所に毎日来てくれるから他の3人よりも会っている時間は多いけど、同情から会ってくれているなんて思うともう気が気じゃないですよね。
入院しているから、いつもの司くんじゃ無くなっちゃった?
珍しく弱気ですよね。

そんな時に3人からのLINEが!
司くん何で勘違いするかな~。
まぁ~勘違いするのを見越して、3人もあんなメッセージ送ってきてるんですけどね。

つくしちゃん来てくれても最初はすご~くドキドキしていたんでしょうね。
ここで類くんを選んだなんてはっきりと言われたら立ち直れないですもんね。
話をして見れば・・・
うん?なんか話がかみ合わない!
よ~く考えて・・・
3人にしてやられた~!
司くん仕事では完璧なのに、つくしちゃんのことになると抜けちゃいますよね~。
そこがまた可愛いんですけどね🎵

つくしちゃんと無事に気持ちも通じ合ったし、リハビリも頑張って退院もしたし、これはもういつもの野獣司くんになるしかないですね💕
この後の野獣編も楽しみにしてます🎵

komaさんの絵、素敵です✨
うん?なんか話がかみ合わない!

2017/10/24 (Tue) 08:43 | EDIT | REPLY |   
koma  
スリーシスターズ様

いやぁ、本編を冷静に読み返してみると
どうも司は劣勢なんですよね…(^^;)

やこさんのお話がなければ
司エンドなんて不自然極まりない…(笑)
その上書くのがkomaとなれば
司君のへたれ度はグ~ンと上がるのです(・∀・)アハ

勘違いさせる相手はやっぱり類君♪
これが司には一番効果的ですっ!

野獣編で司がいつもの調子に戻れるのか…
ぜひぜひその目でお確かめください♡♡
普段ムッツリなkomaが珍しく?暴れてきました(*≧艸≦)ププッ

落書きも見て頂きありがとうございます♪
必死こいて色塗った甲斐がありました(*^^*)

2017/10/24 (Tue) 09:47 | EDIT | REPLY |   
kachi  

komaさん
こんばんは!
お話の更新ありがとうございます😊

いつもとは違って3人より出遅れ感あったせいか自信なさげな司に思わず大丈夫だよ!と言ってあげたくなります^^
さらに司の勘違い狙いの3人LINE(笑)

2人の告白が初々しくて可愛くて好きです♡
このお話のつくしって気遣いはちゃんとするけど意地っ張りじゃなくて素直で可愛いですね♪

komaさんのイラストも可愛いくて素敵ですね♡

2017/10/25 (Wed) 22:56 | EDIT | REPLY |   
koma  
kachi様

そうなんですよね~。
本編を冷静に読むと司は完全に出遅れてるんです。

そして書くのがkomaならもうへたれになって
F3にからかわれるのは決定です(((*≧艸≦)ププ

素直なつくしちゃんは書いてるのも楽しいです♡

落書きも見て頂きありがとうございます♪
喜んでもらえたなら、描いた甲斐がありました♡♡

2017/10/26 (Thu) 10:45 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

koma様♡
ベッドで腕を掴んで懇願するような司の告白
キュン♡キュン♡とキマシタ(*^^*)♡

勘違いしてどんどん沈んでいく司が愛しかったです♡
しあわせそうな笑顔を見て諦めようとするところもよかった。
でも勘違いだとわかった途端
つくしの腕を掴んで「お前の口から聞きたい」っと
野獣が目覚めるとこがやっぱいちばんよかったです♡

気弱な司から一気に強気な野獣に変換するところも♡
司の嬉しそうな笑顔も、和みながらもしあわせな気持ちになりました。

お話ありがとうございました(*^^*)♡

2017/11/05 (Sun) 09:50 | EDIT | REPLY |   
koma  
さとぴょん様

ふふっ。
私が書くとどうしても
ヘタレ度合が上がっちゃいますね~(^皿^)

つかつくらしいラブコメ要素も入れたくて
F3に協力して頂きました(((*≧艸≦)ププ

前後編を書く時にはもう
Rのリレーをしよう!と決めていたので♡
両想いだとわかれば司は止まりませ~ん♪

手負いの野獣って所が残念でしたが(笑)
シチュ的にはおいしくて
書いてるのも楽しかったです♡
こちらこそありがとうございました(*^^*)

2017/11/05 (Sun) 14:11 | EDIT | REPLY |