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今、つくしがいるのは、VIP専用の特別個室。
目の前のベッドには、本来秀麗な顔が腫れ上がり、体中傷だらけになった司が眠っていた。


あれからすぐに、司は道明寺系列の病院へ搬送された。
右足の脛骨は折れ曲がり、骨の位置が大きくずれてしまっていたため、緊急手術により骨が固定された。
骨折した三本の肋骨は圧迫固定され、司の胸には白いバンドが広く巻かれていた。

あたしのせいで、こんなことに・・・。
つくしはどうしたらいいのか分からなかった。
幸い、脳と内臓に損傷が無かったことだけが救いだ。

でも、もし、これで大きな障害が残ってしまったら?
あたしはいったいどう償えばいいの?
不安な気持ちで司の左手を握る。

ねぇ、ちゃんと元気になってね。
あたしを見て笑ってね。
お願いよ・・

つくしの目から、大粒の涙が溢れた。



司が意識を取り戻したのは翌朝だった。
身を起こそうとした途端に全身に広がる激痛。
起き上がることさえ自力で出来そうにない。
仕方なく視線だけを彷徨わせると、自分の左手を握っているつくしの姿が目に入った。
椅子に座ったまま、ベッドに頬を乗せて眠っている。
その目尻には、涙の痕がくっきりと残っていた。

泣いてたのか・・。

司は握られたままの手を動かし、そっとつくしの頬に触れた。

泣かせたかった訳ではなかった。
もちろん、振り向いてもらうために助けに行ったのでは決してない。
ただ、自分の手で、自分にしかできない形で、愛する女を守りたかったのだ。

それでも、目覚めた時にこうしてつくしが傍にいてくれた。
それは司にとってこれ以上ない喜びだった。

まだ、俺のモンになった訳じゃねーけど。

その時、つくしの瞼がゆっくりと開いた。
握っていた司の手からだんだんと視線を上げていく。
すると、目覚めた司と目が合った。

「道明寺さん・・・良かった、目が覚めたんだね。ねぇ、私が分かる?」
ほっとしたつくしの目から、また涙がこぼれた。

「泣くな。大丈夫だ。」
司は親指の腹でその涙を拭った。

「ありがとう・・ありがとう、道明寺さん。それに、ごめんなさい。」

助けに来てくれてありがとう、こんなことに巻き込んでしまってごめんなさい。
つくしはそう言いたかったのに、胸が詰まって伝えきれない。
司はそんな彼女の気持ちを十分に分かっていた。

「謝る必要なんてない。好きな女を守っただけだ。」
「・・・うん。それでも・・ありがとう。」

つくしが少しだけ微笑むと、司の表情も崩れた。

「おう。お前、肩の傷は大丈夫だったか?」
「大丈夫、かすり傷程度だから。」
「傷・・残りそうか?」
「ううん、大丈夫だよ。それに、傷ぐらい残ったって平気。」

司の右足にはもっともっと大きな手術痕がある。
恐らく、それは一生消えることはない。
それに比べれば、自分の怪我など微々たるものだとつくしは思うのだった。

「バカが。女が無茶すんじゃねーよ。死ぬかも知れなかったんだぞっ。」
「大丈夫よ。私、結構頑丈なんだから!」

なんて事ないという様に平然と言うつくしに、司はお手上げだ。

「あんまり無茶すんな、俺の心臓がもたねぇ。」
「うん。」
「これ以上怪我はするな。俺が嫌なんだ、頼む。」
「傷だらけじゃ、お嫁に行けなくなっちゃうもんね。」
「まぁ、そん時は、俺がありがたく貰ってやるから心配いらねぇけどな。」
「バカ・・・でも、ありがとう。」

何度感謝の気持ちを伝えても、言い足りない。
そして、こんな目にあってもなお自分のことを想ってくれる司に、どうしようもなく惹かれていく。


「お前のことは、何があっても、何度でも、俺が一生守ってやる。」

司の精一杯の告白。
『一生』という言葉に込められた意味。
つくしは、その言葉に、この上ない幸せを感じた。


この一晩で、つくしは自分の気持ちをはっきりと自覚していた。
事件の時、司を庇い、とっさに黒咲の前に割って入った。
司を守りたかったのだ。
つくしにとって、司はとても大切な人だから。

「ふふ、でもね。あたしは、守られるだけの女は嫌。あたしも大切な人を守ってあげたいの。」


____あたしは、道明寺さんが好き。

今のつくしに、迷いはなかった。





***


事件から1週間が過ぎた。
つくしは毎日司の元へ通っている。
司の口腔内は傷だらけで、とても固形物を食べられる状態ではなかったから、つくしは毎朝、おかゆや柔らい煮物などを持参した。

「メシ食わせて。」
「もう、手は動くくせにっ。仕方ないなぁ。今日だけだよ。はい、あーん。」

今日だけだと言いながら、いつも優しく介抱してくれるつくしに、司の頬は緩みっぱなしだ。

そして、歩行のリハビリも始まった。
体重の1/3程度の荷重での歩行訓練。
平行棒を持ちながらゆっくりと歩く司を、つくしは少し離れたところから見守っていた。
リハビリは本人の意欲が第一で、つくしが手伝えることはあまりなかったから。
それでも、一段落すればさっと近寄り、司の汗を拭う。
入院当初こそ、司の素肌に触れることを戸惑っていたつくしだったが、いつの間にか、司に寄り添うことが自然になっていった。


いつしか、二人の間には穏やかな空気が流れていたが、まだ互いの気持ちを確認してはいない。
司にしてみれば、もしもつくしが自分以外の三人を選べば、リハビリなど続ける気にもなれないのは分かりきっていた。
だから、つくしの結論も聞いていなかった。
けれど、今、司が必死にリハビリに励んでいるのは、結局はつくしのため。
つくしが負い目を感じないように、早く歩けるようになりたかった。

つくしはお店の合間を縫って、出来得る限りの時間を司の病室で過ごしていた。
司の部屋は特別個室だったから面会時間に制限はなかったが、夜は店の片付けを宮内に任せ、できるだけ早く司の病室に駆けつけていた。
そして毎晩11時になると、つくしは家へ帰ると決めている。
そんな夜に移動するのは危険だと、司は送迎を申し出ていた。
けれど、そうするよりも、本当は彼女にこの部屋にずっといて欲しかった。
朝一番におはようと言い、夜には彼女の寝顔を見る生活がしたい。
この病室には、つくしのための部屋の準備もできている。


けれど・・・まだ言えない。
つくしの気持ちはまだ聞けていない。
他の3人とどうなっているのかも分からないのだ。






_____そんなある日。

『まき乃』には、類、総二郎、あきらが顔を揃えていた。

「やっぱ、ここは落ち着くな。」
「今日のメニューは何?」
「あれ、今日は俺たち三人だけか?」

それもそのはず。
つくしは今日、店を貸し切りして、三人を呼び出していた。
その理由を、彼らはきっと分かっている。

つくしが丹精込めて作った、特別なディナーの時間が刻々と過ぎていった。

夜も9時を回り、三人の前にコーヒーが並んだところで、つくしは大きく息を吸い込んだ。

「今日は皆さんにお話があるんです。」
そう切り出したつくしを、三人は真剣な表情で見つめ返した。

「私は・・・」

けれど、話し始めたつくしの言葉はすぐに切り返された。

「司が好き、でしょ?」
と頬杖を突きながら言うのは、類。

「あれだけ足繁く通われちゃ、一目瞭然だな。」
大きく溜息をついたのは、総二郎。

「司が助けに走った時点で、こうなるような予感がしてた。」
寂しそうに微笑んだのは、あきらだった。


「ごめんなさい。あたし・・・。自分のせいで皆さんに迷惑をかけて、それでもこうやってお店に来ていただいて、本当に嬉しいです。でも・・・でも、やっぱり、あたしがずっと側にいて、幸せにしてあげたいと思ったのは、道明寺さんだけでした。」

それはつくしの偽らざる心。
つくしにとって、三人と過ごした時間もかけがえのないもので、それぞれにときめかなかったと言えば嘘になる。
けれど、自分から幸せにしてあげたいと思ったのは、司だけだった。

彼の傍にいたい。
彼を守ってあげたい。
彼を幸せにしてあげたい。

しっかりと三人の目を見ながら話すつくしは決意に満ちていて、この場にいる全ての者が、これからの二人の幸せを願わずにいられない。


「分かってるよ、牧野。でも、何かあったらすぐに言いな。助けに行く。」
「そうだな。司んところは、花嫁修業も大変そうだ。茶道は西門が責任をもってみてやるから安心しろよ。」
「お袋が残念に思うだろうけど、茶道以外はきっとうちが面倒みるよ。いつでもおいで。」


「「「牧野、司と幸せになれ!」」」


三人の温かい言葉に、涙が溢れそうになる。
だけど、今日は絶対に泣かないと決めていた。
だから、つくしはありったけの笑顔で、三人を見送った。

「ありがとう!」

つくしから最後に出た言葉は、三人への感謝の気持ちだった。





三人が帰った後の店内は急に静かになり、つくしはしばらくの間、皆が消えて行ったドアを見つめていた。
そんなつくしの様子を部屋の奥で見守っていた宮内が、そっとつくしに声を掛ける。

「牧野さん、そろそろ行かなくていいのですか?道明寺さんが待っているでしょう?」

その声で、つくしは我に返った。

「後片付けは私に任せて、ほら、行ってください。」


宮内に背中を押され、つくしはエプロンを机に置いた。
そして、鞄を持って走り出す。
その足取りはいつになく軽やかで、つくしの顔には今日一番の笑顔が浮かんでいた。

司前編
Illustration koma



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Comments - 6

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スリーシスターズ  

おはようございます。

始まりましたね。本編分岐のお話。
本編からの分岐だから、どのチームも本編最後のお話の状態からスタートするのかな~?
まぁ今はそこは置いておきましょう。

司くん大怪我しちゃってたんですよね。
つくしちゃんを守った結果の怪我だから、司くんにとっては勲章ですよね。
司くんははっきりと自分の気持ちを伝えているけど、つくしちゃんからはまだはっきりと聞いていない。
けど、これだけ毎日看病をしに来てくれるからもしかしたら・・・
なんて司くん思っていたりするのかな?

つくしちゃんは3人にきちんと話をしてから司くんに好きって伝えるつもりでいたんですよね。
そして、3人に司くんが好きって伝えました。
あとは司くんにちゃんと告白するだけ!
司くんがすっごく喜んで、顔がすごく緩んで優しく笑ってつくしちゃんを抱きしめちゃう姿が目に浮かびます🎵
つくしちゃん、みんなにちゃんと話できたし、みんなも笑顔で送り出してくれたから、心おきなく司くんの胸に飛び込んでいってください。
司くん。肋骨折れてるからそっとね。
司くんの方が嬉しくてそんなこと忘れて抱きしめますね💕


2017/10/23 (Mon) 08:26 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
スリーシスターズ様

コメントありがとうございます(*^_^*)

ついに最終話に入りました。まずは、司チームは前後編から。
前編は、右足があらぬ方向へ折れてしまった司のその後です(笑)。
そして、つくしちゃんも自分の気持ちに気づくところから入りました。
でも、司はまだつくしちゃんの気持ちを知りません・・・いやーっ、引っ張りすぎ??(^_^;)

司だけ、ベッドの上で出遅れちゃった(笑)。
でも、アーンもしてもらえたし、良いこともありました。
さてさて、明日は、幸せになれるかな??
どうぞ、お楽しみに(o^^o)

2017/10/23 (Mon) 20:49 | EDIT | REPLY |   
kachi  

Happyendingさま
こんばんは!
お話の更新ありがとうございます😊

つくしは大怪我した司の病院に来てくれてたんですね!
良かったです^^

つくしから甲斐甲斐しくお世話してもらって司も嬉しいですね♪
でも、押せ押せじゃなくてつくしの気持ちや他の3人との関係がハッキリしてからとしてるところが大人な司ですね^^

つくしも司を好きになってくれて嬉しいです♡
ちゃんとその気持ちを類くん、総ちゃん、あきらくんの3人に伝える所が誠実で素敵ですね!
そして、そんなつくしの気持ちを受け入れて幸せを応援してくれる3人もやっぱり素敵ですね!

宮内さんもお店に復帰してたんですね!
この方がつくしのそばに居てくれるて、安心感がありますねぇ^^

komaさんのイラスト 病室の2人の様子が微笑ましくて可愛いです♡

2017/10/23 (Mon) 23:45 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
kachi様

コメントありがとうございます!

そうなんです、押せ押せじゃないんです。
なんというか、本編もそうなんですけど、F4全員押せ押せムードじゃないなぁと思っていました。
そりゃそうですよね、だって、一人だけ出し抜く訳にはいかない本編ですから(笑)。
ですが、最終話ですから、エンドCPが決まれば司に頑張ってもらわなきゃですよね!
まずは前後編で、両想いに。
そして、野獣編では、司に頑張ってもらいましょうか??

komaさんのイラスト素敵でしょう?ニヤリ・・・
前編だけイラストがない状況に陥りそうになり、しかも、お話に萌えポイントがないのに、「甘いイラストが欲しい・・」とつぶやいたら、komaさんが書いてくださったのです!!だはは・・・やったーっ。喜んで頂けて私も嬉しいです!
寝ているつくしちゃんのノートには、『Tsukasa・Love』の文字ですよ!細かい!!(笑)。

是非是非最後まで、司チームの応援をよろしくお願いいたします!(^^)!

2017/10/24 (Tue) 13:26 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

Happyending様♡
つくしを気遣う司がよかったです。

つくしの優しさが嬉しい一方、
義務感からかも・・と、
つくしの気持ちを知る不安や恐さで揺れる司がよかったです。

でも怪我をして弱った司って、ある意味最強ですよね♡

「泣くな。大丈夫だ」

守られてる感じしますよねー。
この台詞言う司が、わたし好きで好きで♡

ごちそうさまでした(*^^*)♡

2017/11/01 (Wed) 09:05 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
さとぴょん様

またまた、コメントありがとうございます!
もうね〜。ついつい、優しい司になっちゃうんですよ。
もっとがっつきたいのに〜(笑)。

弱ってる司、ほっとけないよ〜(笑)。
萌えポイント少な目でしたが、楽しんで頂けて良かったです。

2017/11/02 (Thu) 10:13 | EDIT | REPLY |   
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