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魘されて目が醒める。
_____突如目の前から愛する女が消えた日のことを20年以上経つ今でも司は夢に見るのだ。

目を瞑れば
真っ直ぐに自分を見つめていた大きな瞳、白い肌と黒い髪を思い出す。

つくしが消えたあと、つくしを憎んだ。

憎んで
憎んで、憎んで____

同時に深く深く欲し続けた。


つくしを欲しつづける心は、己の出自を憎ませた。
自分がもしも何も持たない一人の男だったら? つくしは自分のことを愛し続け側にい続けてくれたのではないのかと。


二十年の時を経た愛は、憎しみが風化され強い慕情だけを残していった。

一人の女を愛し続ける男は、妻と呼ばれる存在に対して愛も安らぎも一度も感じたことがない。それどころか、人としての情さえも一度も感じたことはない。妻という存在は財閥にとっての利用価値。ただそれだけの存在だ。

勿論
利用価値がなくなれば捨てる____その証拠に今の妻は三人目の妻だ。

司のカリスマ性を帯びた手腕と繰り返される結婚は道明寺財閥を巨大な企業として揺るぎのないものにしていった。全権を握った彼は子を成す義務を放棄した。

子孫を残さない。
出自を憎む彼が唯一できる道明寺財閥への復讐。

否、
復讐などでなく司がつくしへと捧げる操だったのかもしれない。


目が覚めた司はベッドに腰掛けながら邂逅したつくしのことを思い出していた。

自分の手元からつくしが消えたあと、住む世界が違っていたのだと己の心を納得させ諦めていた。

なのに、当のつくし本人は権力も金も十二分に持った男の横で妻として微笑んでいた。


_____今泉新次郎
爽やかでクリーンなイメージとはかけ離れている偽善的な存在だ。

つくしなら、世間的に言われる成功者の証しなど何一つもたなくても陰日向ない真っ直ぐな男を人生のパートナーとして選ぶ筈だと思っていた

自分が得る事は出来なかった幸せを掴む筈だと思っていた

なのになぜ?
あんな男の隣で微笑んでいるんだ。

つくしは、何も知らないのか?
そうだ、知らない筈だ。あの男の上辺に騙されているのだ。

ならば、この手で助けてやりたい。

そして許されるならば_____あの日失ってしまった幸せをこの手に取り戻したい。

欲しい 欲しい 欲しい 欲しい 欲しいと 司の心に狂おしいほどの情熱が蘇る。





無意識に指輪を回しながらスマホを見つめ逡巡を続ける。

「フゥッーーー」

長い長いため息を吐いたあとスマホをタップする。
電話番号が変わっていて欲しいという思いと、そのままでいて欲しいという思い。二つの思いがつくしの心の中を交差する。


RR…

「…牧野…か」

スマホの向こうから自分の名を呼ぶ低く押し殺した声が聞こえてきて、つくしは小さく息を飲み込んだ。

「こんな時間に……ごめんなさい」

「あっ、いやっ___どうした?」


「先日お会いした時ゆっくりお話し出来なかったなぁって……出来たらもう一度会いたいって」

「___明日の夜10時過ぎなら時間がとれる……どうだ?」



約束を交わし終え、電話を切ったつくしは

「…大丈夫、あたしは大丈夫」

自分に言い聞かせるかのように呟いてから苦笑した。

「あたし___あたしか。ふふっ、あたしなんて言うのなん年ぶりなんだろう……」

何も持たなかったあの頃の自分を思い出し、ぶるりと身体が震えた。

それは武者震いだったのか? それとも______


次の日は、朝から気持ちが良いほどによく晴れていた。
家政婦が用意した朝食をとりながら、目の前に座ってスマホを弄りながらコーヒーを啜る絵理子を盗み見た。

「あらっ、つくしママ、あたしの顔に何かついていて?」

スマホを弄っていた顔を上げつくしに微笑む。
里佳子とよく似た、でも___里佳子と違い聡明さの欠片もない娘。

今の自分の思いを打ち消すかのようにつくしは笑顔を浮かべ

「絵里ちゃんの口紅いい色だなって、つい見ちゃったの。今年の新色?」

「フッ」

絵理子は鼻先にせせら笑いを浮かべながら

「つくしママには似合わないと思うけど」

そういい放ち席をたった。

小さな頃は、つくしちゃん、つくしちゃんと慕っていてくれていた絵里子。いつからだろう?つくしに対して侮蔑するかのような視線を投げ出したのは。

敬愛していた里佳子の忘れ形見だと思い大事に育ててきた筈なのに……

でもそれは仕方ないことなのだと自分の心に言い聞かせる。絵理子はただ美しいだけのお人形なのだから。

だからこそ、あの子には充分な利用価値がある。

今泉のひいては新次郎の繁栄のために絵理子には、然るべき相手のところに嫁いで貰う。

つくしは、薬指に光る結婚指輪をそっと撫でた。
なんの変哲もない結婚指輪。でもつくしにとって、この指輪は里佳子から譲り受けた大切なものだ。進むべき道に迷った時、指輪を撫でる。


大丈夫。
あとは頑張って正妻である私が今泉の跡継ぎを産めばいいだけ。そうすれば……私は、この家で揺るぎない存在になれる。

新次郎は、ゆくゆくはこの日本を背負っていく男だ。その為に私が出来ることはなんでもする。

里佳子さんがやっていたように……


「それにしても、いい天気だこと。一点の曇りもないわ」

つくしは、少し先の未来を思い浮かべながら薄っすらと愉しげに微笑んだ。


つくしの一日は新次郎を支える妻として、多忙を極める。新次郎が出れない冠婚葬祭に出席することから始り、相談や陳情への対応。シンポジウムや勉強会への参加と多岐に渡る。

前に出過ぎず、かといって政治家の妻らしい存在感も忘れてはならないのだ。

里佳子が根回しをしていてくれたお陰で大方のことは上手く回っている。

この日もいつもと同じく忙しく時間が過ぎていった。
七時を少し過ぎた頃、全ての予定を切り上げた。

シャワーを浴び化粧を施していく。いつもより丹念に紅をさし終えたつくしは、仕上げにオピウムのパルファムをつけた。

指定されたホテルの部屋に足を踏み入れれば、パーティーで会った時の司とは違い、眦に優しい笑みを湛えている。


我に勝算あり____つくしはほくそ笑む。


「今日はお忙しい中、お時間作ってくださって有り難うございます」

「あっ、いやっ、俺の方も牧野とゆっくり話がしたいと思ってたんだ」

つくしは媚びを含んだ瞳で司の瞳を見上げる。

ドクンっと司の胸が高鳴った。

「道明寺さんが私にですか?光栄ですわ」

「道明寺さんなんて____なんだか変な感じだな」

司の言葉につくしは微笑みを浮かべた。
しばらくの間、お互いがお互いの腹を探り合いながらの会話が続いた。


腹の探り合いに耐えられず口火を切ったのは司____


「あぁ、まどろっこしいな。なぁ、お前、こんな話じゃなくてなんか話があったんだろう?」

司の問いにつくしは意を決して

「___えぇ___近藤さんのことで」

「近藤? 近藤って言うのは誰のことかな」

司が片頬をほんの少しあげ、つくしを見つめて言葉を返した。

「宮内議員の新しい秘書の方です。道明寺さんよくご存知でしょ?」

つくしは語気を強めて司に詰め寄った。

「あぁ、宮下の秘書か、そういえば、そんな名前だったな。よくかどうかは知らないが、あいつが近藤ってやつなら知ってるな_____で、そいつがどうしたっていうんだ?」

「____止めて欲しいの」

「止める? なにを止めるかしらないが、近藤を止めて俺に何か得なことはあるのか?」

「それは___でも、今泉は立派な政治家よ。彼こそがこれからの日本を引っ張っていく人なの___だから、だから助けて欲しいの」

「今泉が立派な政治家だと? はぁっ?政治家に立派なやつなんているのか?それからして甚だ疑問だが、その中でも奴は最低な男だ」

吐き捨てるように司が口にする。

「___今泉は立派な人よ」

「立派?妻以外に何人も女がいるような男がか?」

「嘘よ。そんなの嘘よ。みんな誤解してるだけよ」

「誤解?なにが誤解だ。それが事実だと思ったから、牧野お前も俺を呼び出したんじゃなかったのか?」

司の言葉にきつくきつく手を握り締めながら、つくしは笑顔を作った。

「根も葉もないことで今泉を潰したくないだけよ」

「根も葉もない?どこをどうとって根も葉もないって言えるんだ?」

美しい顔を近づけながら司が詰め寄る。

「事実はどうでもいいの。だから___お願い助けて」

「助ける? だったら___俺のところに来い」


オレノトコロニコイ______

この男はなにを言っているのだろう?
私はファーストレディになれる未来を持つ選ばれた人間なのよ。

あんたごときの愛人で収まる人間じゃないのよ。

___バカにするのもいい加減にして


今泉との結婚を里佳子と約束したあとに里佳子が言った言葉を思い出す。

「使えるものは全て使うのよ。あなたの綺麗な思い出も恋も、そして__そう、今泉だってね」

そう言ったあと、ぞくりとする程に美しい顔で微笑んだ。




シュルリッ
つくしは、腰のところで 結んだリボンを解く。カシュクールのワンピースの前がはだける。

ストンッ
ワンピースと共にスリップが足元に落ちる。

プチンッ
ブラジャーのホックをはずし、ショーツを脱いだ。

オピウムの香りだけを身に纏い、司の首に手を回す。

「ま、ま、牧野……なっ、なっ」

司の言葉を遮るように、ほんの少し背伸びをして口づけをする。

「ドウミョウジ……あたしを助けて」

舌を絡め合わせながら、つくしの指先がシャツのボタンを一つ一つ外していく。

欲しくて、欲しくて、欲しかった女の指先が司の肌を撫で回している。理性はつくしの行動を止めようと思うのに____身体は欲望に正直に反応を始めて行く。

指先で男の欲望を感じ取る。ベルトを外しジッパーをさげる。司の太腿を指が這う。

「よせ、牧野」

司の言葉につくしは扇情的な微笑みを一つ浮かべて跪く。欲望の塊になったモノを躊躇いも恥じらいもなく口に含んだ

「ゥッ、ウッ、牧野 ヤメロ」

つくしの大きな瞳が司を見上げ

「ドウミョウジ___オネガイ」

理性が劣情に支配される。

司はつくしを抱き上げて無言でベッドルームに連れて行く。

部屋の中には
二人の荒い息遣いと、そして腰を打ち付ける音がこだまする。


一つになれた瞬間_______司の中の欲望は醒めるどころか肥大していった。


欲しい 欲しい 欲しい
共に歩む未来が欲しいと。司は後ろからつくしを抱きしめて

「なぁ、このまま一緒に暮らさないか?」

全てを捨ててもかまわない思いを込めて口にした。


つくしがゆっくりと振り向きながら_______

「何言ってるの?そんな事出来るわけないでしょ。____それより、今泉をお願い。そうだ、ねぇ、今泉の後援会に入ってはいただけない?」

抱きしめていた腕の力が抜けていく。

コノオンナハ イッタイ ダレダ?

「あっ、そうだわ、来週の今泉の激励会にぜひいらっしゃって_____そのあとの時間空けておきますから」


コンナオンナ シラナイ

つくしに対する司の幻影がガラガラと音を立て崩れて行く。





↓オマケ↓がありますのでこちらもどうぞ

Comments - 8

There are no comments yet.
スリーシスターズ  

こんばんは。

司くんの想いは20年以上経っても変わらずにつくしちゃんに向けられていました。
つくしちゃんは今泉議員に騙されている、自分が助けてあげなければって思っていた司くん。
そんな司くんを見れて嬉しかったです。

司くんにとってやっと一つになれたと思った後の本気の告白につくしちゃんの答えはとても非情なものでした。
あの頃のつくしちゃんは一体どこに・・?
司くん、つくしちゃんが今泉に騙されているって思えなくなってしまったのでしょうか?
自分の知らないつくしちゃんを見てしまった司くんの心はまた崩壊してしまうのでしょうか?
とても切なくなってしまいました。(涙がポロリでした(;_:))

つくしちゃんも司くんに対する思いは20年以上変わっていないと思いたいですが、それを押し殺してまでも今泉議員の妻として振る舞うつくしちゃん。
何かとてつもなく大きな目的がありそうですよね。
つくしちゃんの目的が何なのか?
謎は深まるばかりです。





2017/10/21 (Sat) 00:29 | EDIT | REPLY |   
ないない  
ラストが楽しみです

asuhanaさん、おはようございます。
予告通りのdarkness、その昏さを堪能しています。

個人的には純粋なつくしちゃんが好きですが、
反面、したたかな女性が好きでもあります。
彼女が目的を果たせるのか、あのF4を意のままに操れるのか、
里佳子の影に翻弄されて終わりなのか…。

ラストを楽しみにしています。

2017/10/21 (Sat) 07:32 | EDIT | REPLY |   
kachi  

asuさん
おはようございます(o^^o)
お話の更新ありがとうございます😊

つくしったらすっかり里佳子さんの思うままにコントロールされちゃってる感じですね〜
本来のつくしの心の声をちゃんと聞いて欲しいです。

司のつくしへの一途な愛が大好きです。
そんな司の想いが報われて欲しい、幸せになって欲しいといつも願っています。
だから、このお話ほんと切ないです(๑o̴̶̷᷄﹏o̴̶̷̥᷅๑)

絵里子ちゃん 本当に聡明さがないのかしら?
子供だからこそ純粋な心でつくしの心を見抜いているからこそ侮蔑されちゃってるのではないかな。

はたしてつくしは自分の心を取り戻せるのか。
このまま昏い闇の中のままなのか。

続き楽しみにしています。

2017/10/21 (Sat) 09:36 | EDIT | REPLY |   
asu  
Re: スリーさま

そうそうそうなんです。つくし好きの私にとっても、この流れは辛いの((T_T))

ビェーン

2017/10/21 (Sat) 19:20 | EDIT | REPLY |   
asu  
Re: ないないさま

うんうん。私も強かは好き❤
強かで、突っ走れ、もしくは、愛に溺れちまいな‼
と言いつつ買いてました。

ハラハラドキドキ……ですよね

2017/10/21 (Sat) 19:24 | EDIT | REPLY |   
asu  
Re: kachiさん

そうそう、切ないよね。
つくし、カームバックだよ。

愛に溺れろ‼
司も手放すな‼

一緒に祈って~

2017/10/21 (Sat) 19:29 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

asuhana様♡
司パックンチョのお話ありがとうございました。

コノオンナハイッタイダレダ

コンナオンナシラナイ

恋い焦がれたつくしとひとつになれた喜びもつかの間

つくしへの思いが崩れていく司の絶望感半端ないっすね。(´;ω;`)

ダークなお話ありがとうございました♡

2017/10/25 (Wed) 14:23 | EDIT | REPLY |   
asu  
さとぴょんさま

さとぴょんさま
パックンチョw
見逃さないなっ
お主やりおるな!

思いが崩れて、どうなるのか?
うーーん ムムムッ

2017/10/25 (Wed) 16:53 | EDIT | REPLY |   
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