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●もしも総二郎と結ばれたら…


「牧野、俺と付き合おうぜ」

二度失敗して以来、もはやトラウマになりつつある本気の告白。
女に愛を囁くなんて挨拶程度の簡単なものだったはずなのに、本気で惚れた女にはこのザマだ。
プレイボーイなんて名ばかりだ。

超ふざけたF4クジ引きデート。

他の3人の時はこっそり尾行していたりする。
この俺が他人のデートに尾行だぜ?
本気度が窺えるだろ?読者たち。
あのアホらしいデートを見て俺は勝ちを確信したぜ。

そして回ってきた俺の番。

なんだあのデートは。
あんなのデートと言えねぇだろ?

下着屋から出てきて『これは!』と思えばコスプレ用だし、陶芸デートはガキに邪魔されやっとのことで告れば牧野は寝てる。
普通単車の後ろに乗って寝るか?間違いなく死ぬぜ?
今度こそと思って再度挑めばお袋に告るという失態。

寝てしまった、までは仕方ない。
だがお袋に告るくらい恥ずかしいものはない。

ところがチャンスは意外に早くやってきた。
何も告白シーンを無理に作り出す必要なんてなかったんだよな。
現に今告白をしてOKの返事をもらった場所は普通のカフェ。
しかもどうでもいいような会話の中で自然な形で口から出た。

―俺と付き合おうぜ―
―うん…―

俺はテーブルに1万円札をバンと置くと、牧野の手を握って店を出た。


***


今日は牧野が寝てもいいようにツーシーターのスポーツカー。
ついいつものクセが出てカッコ付けてミッション車を選んでしまったのだが以前オンナを乗せたとき、ギアチェンジのたびにシフトノブに重ねた手に力が入りゾクゾクすると好評だったことを思い出す。

あれは確かマキちゃんだったな…。

おっとヤバイ。
本命のオンナとのデートで他の女の名前を思い出すとは。しかも相手は牧野とマキちゃん。
これは気を付けねーとな。

「ねぇ西門さん、どこに行くの?」

マキちゃん、いや牧野(クソっ、ややこしいな)

「ん?気持ちいいとこ?」
「なんか西門さんが言うとなんでもエッチに聞こえるよね」
「失礼なことを言うなよ」

どうでもいい会話だが、本気で好きな女との会話だと何もかも充実しているな…。
今日の俺、人生で一番充実しているかもしんねー…。

とはいえ勢いで店を出てしまったものの、決まった行き先はない。
これがどうでもいい女ならホテルに直行というところだろうが、まさかコイツをホテルに連れて行くわけにもいかないしな。せっかく手に入れた女をドン引きさせるほど俺もバカじゃない。

「なあ、マキちゃんはどこか行きたいところある?」
「マキ…ちゃん?」

ハッ

マズイ、これは絶対にマズイ。
俺としたことが痛恨のミスだ!

「ま、牧野だからマキ…ちゃん、可愛いだろ?」
「そう?なんか逆に気持ち悪いな、西門さんにそんな風に言われると15股のひとりみたいでなんかイヤだな。実は『つくしちゃん』って呼ばれるのも痒くなるのよね」

ぐっ

お見通しかよ牧野。しかも15じゃねぇ、正確には13だ。
そして痒くなるな。
お前肝心なところで敏感になるなよ。敏感になるところはこれから俺が…。

「どこでもいいよ、って言ったらどうせ西門さんホテルに行くとか言うんでしょ?」
「さすがにそれは…」
「あたし、それでもかまわないよ。西門さんの手を取るって決めたときに覚悟はしたから」

ま、マジかよ牧野!?

女にここまで言わせておいて、期待を裏切るわけにはいかねーよな?
据え膳食わぬは…って言葉がこの時ばかりは恨めしい。

「そこんとこは置いといて、とりあえずそろそろ飯にしねー?俺腹ペコだわ。そのあとのことは焦らず行こうぜ」
「うん…」

なんとか切り抜けたな。
牧野も顔を赤くして俯いてる。
俺としたことが何たる失態だ…。よくこのピンチを脱出したな、マジで。


***


スマートにエスコートするなら慣れてる場所がいいよな。
牧野の服装もドレスコード的にはOKだし、ホテルのレストランで夜景を見ながらってオーソドックスな感じがいいだろう。

ホテルのエントランスで車を降りると、牧野の手を取りそのまま最上階のレストランへ。エレベーターには俺たちふたり。
防犯カメラはあるがとりあえず気にしない。

牧野を抱きしめキスをすると、グニャリ、とまではいかないまでも牧野の体の力が抜けるのを感じた。
いかん、これじゃいつもと変わりないじゃねーか。

健全に…健全に…だ!

チンという音とともに扉が開くと、レストランのフロントの先へ進む。

「いらっしゃいませ西門様。いつものお席でよろしいでしょうか?」
「いつもの?」
「あ、兄貴と嫁さんとかと…よく来るんだよ」
「ふーん」

兄貴の嫁さんなんて会ったこともない…。
しかもこの俺が、変な汗をかくなんて…ここのウエイター、司じゃないがクビにしてやりてぇ…。

案内されたのは当然『いつもの席』

「西門様、いつものワインをお持ちしてもよろしいでしょうか?」

ちらりと牧野を見ると気にしていないようにも見える。

「お水はいつものFILLICOで…」
「お料理はいつもご注文いただいているシェフのおまかせで、いつものタイミングで…」

マ、マジでうぜぇ…。
ここまで来ると牧野の顔もロクに見られねーじゃねーか…。

下を向いたと見せかけてチラリと牧野を見るが特に変わった様子はない。
だ、大丈夫…か…?

慣れた場所でスマートにエスコートなんて思った俺がバカだった!
なんなら牧野に合わせてファミレスとかファーストフード店とかでよかったんじゃないかとさえ思い始めている。

「西門様、デザートはいつものミル「牧野!デザート食ったあとどっか行きたいとこあるか?」フィーユで…」

もうこうなったら品位も何もあったもんじゃねぇ。
ウエイターのウザ発言連発に耐えかねた俺は、強引に遮って、牧野に話かけた。

「うーん、特にないかな…って言うといつもの部屋に連れて行かれちゃうわけ?」

俺が完全に牧野を手に入れるためには、相当な改心が必要なことだけはわかった。
マイナスからのスタート…拷問だな。



↓オマケ↓がありますのでこちらもどうぞ

Comments - 8

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スリーシスターズ  

おはようございます。

またまたやこさん!
おっ、今度は総二郎!

つくしちゃんへの告白が失敗に終わったと思ったけど、神様は見捨てなかった!?
まさかの告白OK!!
総二郎くん気合入りまくっていますが・・・

まさかの13股バレそうになるし。
別の子の名前呼んじゃって慌ててごまかす羽目になるし。
極めつけはレストランの店員さん。
いつものいつものを連発するな~!!!
イライラが募って、こいつ絶対クビって怒鳴ってしまう寸前だったかな~

もっと極めつけはつくしちゃんからの「いつもの部屋」発言!
当分下手に手は出せないと総二郎くんがっくりきたでしょうね。
改心に改心を重ねてつくしちゃんの信頼を得ましょうね。
面白かったです🎵

2017/10/24 (Tue) 07:32 | EDIT | REPLY |   
えみりん  
やこさま初めまして

「いつもの」連発面白い!
でもいけませんよねぇ、いつも連れてる女性が違うんだからウェイターさん察してくれないと‥
鈍感なつくしちゃんだってさすがにね‥
今回はいつものお部屋は止めておきましょうか総ちゃん。
ベッドの上で、いつものから、いつもはどうするの?って聞かれたら困りますもんね~
でもその時は、いつもの時以上に‥‥でよろしく!

2017/10/24 (Tue) 08:36 | EDIT | REPLY |   
kachi  

やこさん
おはようございます^^
お話の更新ありがとうございます😊

総ちゃん(笑)
い、つ、も、の(笑)
過去が過去とはいえ、慣れって怖いですねぇ(^-^;
ベットの中で『マキちゃん』と言わなかっただけ良かったと思った方が良いかも(笑)
今、この瞬間つくしちゃんに一途なのは信じられるけど未来がどうなのかはやっぱりちょっと信じられないような(笑)
あっ!つくしちゃんなら信じてくれてるかな(*^^*)
ファイト!総二郎!

ふふふ
楽しかったです♪

2017/10/25 (Wed) 09:13 | EDIT | REPLY |   
やこ  
スリーシスターズ様

こんにちは。
ハイ、今度は総ちゃんでコメディ書かせていただきました。
総ちゃんってコメディ要素があまりないので、すごく苦労して書いた記憶があります。
なので、慣れたことやって逆に失敗、という方法しか思いつかずに、こんなお話になってしまいました。
司だったら間違いなくこのウエイターはクビでしょうね。

2017/10/25 (Wed) 10:13 | EDIT | REPLY |   
やこ  
えみりん様

こんにちは、初めまして!コメントありがとうございます。
あきらのお話は結構ノリノリで書いたんですけど、総二郎と類はホントに難しかった!
それでも笑っていただけたということで頑張った甲斐がありました(o^―^o)ニコ
女性の扱いには慣れてる総ちゃんでしょうけど、つくしみたいな女の子には通用せず、これから大いに頭を抱えそうですね…。

2017/10/25 (Wed) 10:17 | EDIT | REPLY |   
やこ  
kachi様

コメントありがとうございます。
総二郎って司と似ているようで全然違うんですよね、当たり前だけど。
スマートにエスコートする段階で何かが起きれば面白いんじゃないかな?と無い知恵を絞って頑張りました。
マキちゃんのくだりは私もニヤニヤしながら書きました。

2017/10/25 (Wed) 10:25 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

やこ様♡
いつも秀悦なコメディーを、ありがとうございます。
(見たか?秀悦返し)(笑)

今回も素晴らしかったです。
やこ様のお話は、
読者を笑わせるポイントがいつも明確で、
迷いなく、突っ走る感じが
「気持ちいいーっ!」です。(水泳の北島風で)

笑いの道を極めてきた方ゆえに
シンプルで無駄がない。

面白いのに、同時に愛しさを感じる
やこ様のコメディー、ほんと大好きです♡
ぜひまた書いてくださいね♡♡♡( *´艸`)

今回の総二郎ほんとよかったですよ♡
総ちゃんって実は意外とお笑い要素あるんですよ。

「いつもの」を連発するウエイター(笑)
その言葉に追いつめられていく総ちゃんが
とても美味しかった♡

いつもだったら、西門さん素敵♡ と思われる言葉なんでしょうが、
つくし相手だと、意味が全く違ってくるというところが面白いですよね。

普段カッコつけてる総ちゃんだからこそ、
本気になったら上手くいかないところがいい♡
言葉一つでこんなに敏感になる総二郎
すごく可愛かったです♡

そうですよー。
敏感なところは、ぜひ♡総ちゃんに♡
全てを総ちゃんに任せとけば大丈夫♡

「シェフ(総ちゃん)の、特別おまかせコース♡」でよろしく♡

もちろん愛情は、メガ盛りで♡

お話ありがとうございました(*^^*)♡

2017/11/05 (Sun) 09:30 | EDIT | REPLY |   
やこ  
さとぴょん様

イベント終了後もコメントありがとうございます❗
いつもコメディ書くときって、お話が降ってくるんですが、今回は4つ書くと決まっていたので無理矢理書いた感じがして特に総ちゃんと類は苦戦しました。
画面の向こう側で大爆笑してもらうのが私の役割ですが大丈夫だったかな…?
先に登場されたみなさんのお話を拾ってなんとか仕上げました。
ロマンス系は懲り懲りだけどコメディは続けていきたいな💜

2017/11/06 (Mon) 00:31 | EDIT | REPLY |   
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