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バリバリバリバリ・・・
ブロロロロロロロ・・・
ヒュイーン・・・パタパタパタパタ・・・

トスカーナにある花沢家の別宅に、ヘリコプター着陸の轟音が響き渡った。


「おい、来たんじゃね?」
「だな。」

「予定通りだね。」
左腕の腕時計を確認した類が、口角を上げる。

「「「じゃ、始めますかっ!」」」




***


バタバタドタドタ・・・バッターン!!

「おいコラッ!オメェらっ!どーいうことだよ!・・はぁ、はぁ、はぁ・・くっそ・・」

俺はヘリから飛び降りると、トスカーナの丘を一気に上った。
目指すは類んちの別宅だ。
こんな高台に別宅なんか作りやがって。

駆け上ったその勢いのまま、ドアに蹴りを入れて部屋の中に飛び込んで行く。
流石の俺も、肩で息をするのは仕方ねぇ。
そんな俺を、あいつら三人は冷めた目付きで出迎えた。

「司、久しぶりだね。元気にしてた?」
「はぁっ・・はぁっ・・・はぁ?」
「忙しかったんじゃねぇのかよ。」
「ま、今の司は仕事命だしな。そりゃ、一番大事なもんっつったら仕事だろ?」
「ばっ・・バカ言ってんじゃねーぞっ!」

こいつら一体何を言ってやがる。
俺の一番大切なもの。
そんなの牧野に決まってんだろっ。

ふぅーっと大きく息を吐き出して、少しだけ冷静になる。
こいつらからの宣戦布告は受け取った。
だが、俺は、こいつらとじゃれ合いに来たんじゃねぇ。
牧野を、俺の愛する女を抱きしめに来たんだ。

しかし、周囲をゆっくりと見渡すものの、肝心な牧野が見当たらない。

「牧野は・・どこだ?」

類たち三人が、一斉に頭を振った。

「牧野なら二階にいるぜ。」
「でも、ちょっと遅かったな、司。」
「今は会わない方がいいんじゃない?」

「・・あ?」

すぐに二階へ駆け上がろうとした俺だったが、奴らの言葉に足を止めた。
今は、会わない方がいい・・?

「あいつ、今、手紙書いてるぜ。」
「手紙?」
「別れの手紙って奴だろ?」
「ごめんね、司。俺んちのレターセットで。」


別れの・・手紙・・・

息が詰まった。
胸がつかえて、上手く呼吸ができねぇ。

俺はジェットの中で、自分の不甲斐なさを悔いていた。
十分反省したつもりだった。
そして、これから牧野に、俺の愛を思いっきり伝えるつもりでいたんだ。

それなのに・・別れるって、なんだよっ。

言葉が出ねぇ。
俺は奥歯をぐっと食いしばり、両手をきつく握りしめた。

間に合わなかった?
そんなはずはねぇ。
あいつは、俺のもんだ。
誰にも渡さねぇ!


だが、もし、本当に間に合わなかったんだとすれば、こいつらが・・
そう思い至った俺は、三人を睨み付けた。

「お前ら・・あいつに何した?」

切り殺すことも厭わない程の俺の眼光にも、こいつらは全く怯まない。
そればかりか更に追い打ちをかけてくる。

「それは俺らのセリフでしょ。牧野を泣かせたら、俺がもらうって言ったよね?」

そう言って、俺の前に立った類。

「類、てめっ!」

俺は右手に握りしめていた数枚の写真をその場に投げ捨てた。
その写真には、類と並んで座り微笑んでいる牧野の姿。
そして、牧野の首筋にキスを落とす類の姿。
もう一枚には、牧野と仲良く手を繋いで歩くあきらの姿があった。

どの写真の牧野も笑顔に溢れていて、俺は余計に自分が惨めになった。
これ程にあいつを愛しているのに、どうしてその愛をきちんと伝えなかったのか。
牧野を笑顔にさせてやったのが、どうして俺ではないのか。
あいつの涙に気付いたのが、どうして俺ではなくこの三人だったのか。
ちくしょうっ!!

全ては自分自身が招いた結果だというのに、この現実を受け止めきれない。
ましてや、牧野との別れなど受け入れられるはずもない。


大体、なんで類が牧野にキスなんかしてんだっ!?

俺は無言で右腕を振り上げた。
固く握り締めた拳を、猛烈なスピードで類の顔面に向かって走らせる。


バシッ!!


「自分のことを棚に上げて、そりゃねぇだろ?司。」

俺の渾身の一撃を、右手一本で受け止めたのはあきらだった。

あきらと手を繋ぎ、楽しそうに笑う牧野の姿が頭から離れない。
そしてそんな牧野を優し気に見つめるあきらの姿に、俺は強烈に嫉妬した。
その場所は、俺のもんだっ!

「あきら・・テメェもか?」
「お前さ。提携先の社長のお嬢さんだっけ?きちんと断ってんのか?牧野が、お前のあいまいな態度で苦しんでんのを分かってたのか?俺らの愛する女を泣かした罪は重いんだよっ!」


あきらの言う社長令嬢のことはもちろん知っていた。
ババァから提携の指示を受けた会社の女社長が、提携の条件に自分の娘との縁談を持ち出した。
だが、それを受けるような俺じゃない。
俺にとって、愛する女はただ一人。
牧野つくしだけだ。

道明寺ホールディングスの専務に就任し、ビジネスが面白くなっていたのは事実だ。
しかし、それはビジネスで力をつけることが牧野を守ることに繋がるからでもあった。
牧野が傍にいなければ、仕事など何の意味も為さない。

そして、この縁談を受けることなく提携を成功させることこそが、牧野への愛を証明することに繋がると俺は考えていた。牧野との婚約を認めたものの、未だに良い縁組があれば食いつこうとするババァを牽制し、彼女との結婚へ踏み切ることこそが、今回ババァの指示に大人しく従った、俺の目論見でもあった。
今時古くせぇ時代遅れな縁組なんかしなくても、俺は仕事を成功させられる。それをアピールする絶好のチャンスでもあったんだ。
事実、先日のニューヨーク出張で、提携の成功と牧野との近々の結婚をババァに報告し、認められたところだった。

誰にも文句なんか言わせやしない。
自分のこの手であいつを守ってやるために、俺も必死だった。
そんなことをあいつが望んでいたかは分からねぇが、俺との結婚であいつに苦労なんてさせたくなかった。
あいつを守るための手段がビジネスだったんだ。


だから、こいつらに牧野を渡すなんてあり得ねぇ!

「そんなもん、とっくに解決してるに決まってんだろっ。勝手なこと抜かしてんじゃねぇ!」

俺が一瞬にして蹴り上げた右足は、あきらの顔面を襲う。


ガシッ!!


「いきなり蹴り入れてんじゃねーよ。この狂暴男が。」

俺の強烈なキックを右腕で捉えたのは・・

「総二郎。」
「言っとくけど、俺もお前の味方じゃねぇよ。」
「はっ。」

今更何を言いやがる。
今さっき、あきらが言い放った言葉がリフレインする。
___『俺らの愛する女』・・だと?


俺は気付いていなかった訳じゃない。
類を含めこの三人がずっと牧野を想ってきたという、その事実に。
けど俺には、こいつらよりも牧野を愛しているという自負があった。
あいつを幸せにできるのは俺しかいないんだと自惚れていたのかも知れねぇ。
だが、目の前の仕事をこなし、文句なく牧野を道明寺家に迎え入れることに必死になり、仕事の成果を上げることがそれに繋がるんだと慢心し、あいつの心を置き去りにしてしまった。


「司、女が香水を変えるってどんな時か分かるか?」

その言葉にはっとして、俺は総二郎に視線を向けた。
少し前に、背後から抱き付いた牧野から微かに匂った香り。
いつもは香水など付けない牧野が纏っていた香りを思い出していた。

「自分を変えたい時なんだよ。人生の流れを変えたい時。お前、あいつが出してたサインに気付いたか?」

・・・。
ああ・・俺は、本当にバカだ・・・

俺はその場に立ちすくんだ。
体に力が入らない。
自分を、人生を変えたいと願った牧野の気持ちを考えただけで、胸が張り裂けそうだった。
それは、俺と歩む人生に見切りをつけるという意味なのか?
会えば仕事の話ばかりで、あいつの話を聞いてやることもなかったこの数年。
愛想を尽かされたとしても仕方が無かった。
俺は安心していたんだ。
牧野が俺を愛してくれているということに。
遠距離恋愛時代には弛まぬ努力をして繋ぎ止めていた彼女の愛だったのに、この数年は安心しきって努力を怠っていたと気付く。

俺が考えていたよりも、牧野の心の傷は深いんだろう。
こいつらがここまでする程に。
ここに来て牧野を抱きしめれば解決すると思っていた俺は、相当なお気楽野郎だったということか。

けど、牧野。お前も大概分かってねぇよ。
なんで俺に不安を言わねぇんだよ。
そんなに俺が頼りなかったのか?
俺はお前のためなら何だってする。
お前がいなきゃ生きられない男なんだぜ?
俺がバカなのは認めるよ。
だけど、お前もバカだ。
勝手に不安になって、俺と別れようだなんてな。

だが、だからと言って、はいそうですかとそれを受け入れる俺じゃねぇよ。
お前が俺から逃げるなら、どこまででも追いかける。
それが地獄の果てまでだとしてもな。


「お前がボケてっから、こーいうことになんだよっ!」

そう言って、総二郎が下段からパンチを繰り出した。


バチンッ!!


そのパンチを、俺は左手一本で受け止めた。

「そう簡単にやられるかっつーの。」

そのまま、受け止めた総二郎の手を振り払う。

「あいつが別れるつったって、俺は承諾しねぇよ。俺が愛してんのはあいつだけだ。過去も、未来も。当然、お前らにも渡さない。」

そうだ。
俺にはあいつしかいない。
あいつ以外の女なんて考えられない。
牧野がいなきゃ、俺は生きていけない。
だから、誰にも渡しはしない。

そんな当たり前のことを確認すれば、全身に血液がみなぎってくる。


気合いを入れ直し、宣戦布告した俺を見て、こいつらが笑った。

「何、司。今更、宣戦布告?」
「まぁ、せいぜい頑張れよ。」
「ま、俺らは一歩リードしてっけどな。」

ニヤニヤと俺を観察してやがる。

「あきら、牧野とベロチューしたでしょ?」
「お前が、キスマークとか付けてるからだろ、類。」
「何だよ、お前ら。俺が一番軽いじゃねーかよ。俺なんて3秒だぞっ、3秒!」


・・・!!!

「テメェらっ!!!」


怒りはある。
嫉妬もある。
あいつは俺の女なんだ。
その牧野にこいつらがしでかした事。
本来なら許せるはずもねぇが、今回ばかりは仕方ねぇ。

どんな形であれ、牧野の気持ちを救ってくれた。
そして俺に、大切な気持ちを確認させてくれた。
そんな、どうしようもなくお節介な俺の悪友たち。


さっきまでの殺気立った気持ちは無くなっていた。
こいつらの気持ちが痛ぇぐらいに分かるから。
俺たちが大切にしている牧野。
その牧野を幸せにするためなら、俺たちは何だってする。
もしも、こいつらが本気で俺から牧野を奪おうとしているのなら、俺をこのトスカーナの地へ呼び寄せるような真似はしなかっただろう。
結局は牧野のために、俺をここに呼び付けたんだ。

それに、例えこれがスタートラインだったとしても、最終的に牧野を手に入れるのは俺以外にはあり得ない。

しゃーねーな。
今回は俺の負けだ。


軽く類の左頬にパンチを繰り出す。
「痛いよ、司。」
「軽すぎるだろ。感謝しろよ。」

そして、類はあきらの脇腹を突く。
「類っ、チョップすんなっ。」
「だって、ベロチューしたじゃん。」

あきらが総二郎の脛を蹴る。
「イテッ。」
「お前は日本で良かったんだよ。わざわざ来るなっ。」

最後に、総二郎が俺に向かって右拳を突き出した。
それに俺が自分の右拳をぶつけると、類とあきらが続いた。
四人の拳がガチッとぶつかる。

___俺たちの友情の証。



『オッシャーッ!!!』

俺は必ず牧野を取り戻す。
こいつらを味方につけた俺は無敵だ。



↓オマケ↓がありますのでこちらもどうぞ

Comments - 6

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スリーシスターズ  

おはようございます。

やっとの思いでたどり着いたトスカーナ。
でも3人から容赦なく辛辣な言葉がかけられちゃいましたね。

司くんもつくしちゃんが安心して自分と結婚できるように頑張っていたんですよね。
つくしちゃんがいなかったら司くんは生きていけないですからね。
つくしちゃんを世界一幸せにしてあげたいですからね。
自分と結婚することでつくしちゃんが哀しむことがないようにしてあげたかったんですよね。
でもちょっと1人で頑張りすぎたかな。

3人が最後のチャンスをくれたから、司くんここでビシッと決めないとね。
もうつくしちゃんを不安にしてはダメだよ!

類くん、総二郎くん、あきらくん、司くんにチャンスをくれてありがとう。
司くん、3人に感謝だね!

2017/10/21 (Sat) 09:33 | EDIT | REPLY |   
kachi  

happyendingさん
おはようございます(o^^o)
お話の更新ありがとうございます😊

司やってきましたね〜

類くんたち3人の本気に、司の思っていた以上につくしの心の傷が深い事に気付かされたんですね。

司は司で、ちゃんとつくしとの結婚に向けてそのために仕事を頑張っていたんですね(o^^o)
結果を出してあの楓さんにも認められていたなんてがんばりましたね!
でも、やっぱり、つくしをこれだけ不安にさせてしまったんだから、ちょっと間違っちゃいましたねぇ。

類くん、総ちゃん、あきらくん、3人のつくしへの深い愛と司への変わらぬ友情、本当に素敵な男性たちですね!
ほんと感謝しないとですね!

4人の拳をぶつけ合う友情の証のシーン
素敵です♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
カッコ良いこの4人の姿を映像で見たいです(o^^o)

さぁ、今度はつくしとですね!

続き楽しみにしてまーす♪

2017/10/21 (Sat) 10:36 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
スリーシスターズ様

コメントありがとうございます!

そうなのです。司君も頑張っていたんですよ~。
男の人って、女性には自分が頑張ってることも、辛いことも、ついでの案外いいことしたってことも言わなくないですか?
このリレーが始まって、自宅では絶対にお目にかかれない素敵すぎるF3を読みながら、そのうち自分に出番が回ってくるんだろうと考えていたんですけどね。どうして、司はここまでつくしちゃんの気持ちをスルーしちゃったんだろうって・・。
その答えが、男の人って、案外言わないよね~、いろいろって事でした(笑)。

でも、つくしちゃんの香水に気が付いていたのに深く考えなかったりとか、伝わっていると思って伝えていなかった言葉もたくさんあって、きっと凄く反省してるはず。
そろそろ許してあげましょうかね??(笑)。

是非明日も、読んでくださいね!!

2017/10/21 (Sat) 17:44 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
kachi様

コメントありがとうございます!

このリレーのタイトルは『Pure love(純愛)』です。
司も、つくしも、お互いを想いながらすれ違う純愛。
そしれ、聡ちゃんも、類君も、あきらくんも、ずっとつくしを想い、見守る純愛。

このカテゴリーは管理人様がはじめに作っていたのですが、自分で飛び込んでおきながら、はて純愛ってなんだろう?と一から考えさせられました。F3にとっては、見返りを求めずにつくしに捧げる愛であり、つかつくにとっては自分のこと以上に相手を想うひたむきな愛でしょうか・・・。

お話が進むにつれて舞台はイタリアへ移り、F4の友情を確認する場面がトスカーナ。これまた私一人では絶対に思いつかない世界で、このリレーに参戦してよかったなぁと思いました。こういう場面を書くのも初めてでドキドキしましたけど・・(笑)。この場面、本当に映像で見てみたいですよね!!かっこよすぎて倒れるかもっ!!

では、是非明日もご覧くださいませ!!

2017/10/21 (Sat) 18:02 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

Happyending様♡
ピュアな前編ありがとうございました。

なるほど、女が香水を変えるのは、人生の流れを変えたいとき・・なんですね。

さすが総ちゃん( *´艸`)

「俺たちの愛する女」

あきら、決まった・・・と思ったのに、ベロチューとか最後言われてて笑った。

後悔する司、なかなか美味しかったです。

なんかみんなピュアですよね♡

キラキラ眩しかったです。

己の心も浄化された気分(笑)

お話ありがとうございました♡

2017/10/26 (Thu) 13:46 | EDIT | REPLY |   
Happyending  

コメントありがとうございます。
こちらの前編は、出てきた伏線回収の巻って感じです(笑)。

第1話でつくしちゃんが香水をつけているんですけど、当初「これなんで〜?」って質問したら、「何でもいいよ〜。スルーでもいいし〜。」というkomaさんからの結構適当なお返事(笑)で。でも、やっぱり気になるよ〜と調べてみることに・・・。
香水って、やっぱり男性を惹きつけるとかそういう意味があるかなぁとは思ったんですが、いろいろ調べると、今回の意味にたどり着いて、これだっ!と。さすが、そしてそれを指摘するのは総ちゃんしかいませんね(笑)。

あきら君も、「俺らの愛する女」とか決めちゃって、何だよ〜!F3カッコ良すぎっ!で、焦りまくりでしたよ〜。そして、私が今まで書いた司の中で、今回の司が一番ヘタレかも。結局・・・あんまりいいとこなかったような・・(^_^;)

そう、そしてみんながピュア・・。
なんとか、タイトルの純愛になったでしょうか・・?

リレーも残すところわずか。
最後まで、どうぞよろしくお願いします!

2017/10/26 (Thu) 22:26 | EDIT | REPLY |   
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