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「つまり、ここはステータス回復エリアってわけか。」
「そういうことだな。」
「だけど、泊まる場所のレベルがコインで変わるってどういうことだ?」
「場所によって回復レベルが違うんだろ。ホテル内に売店があるっていうなら、そこで買えるアイテムのレベルも違うのかもしれないな。ま、いずれにせよ俺たちには関係ないけどな。」
「関係ない?」
「ほれ。」

総二郎が財布から取り出して見せたのは、 “利用限度額無制限“のいわゆるブラックカード。

「財布にこれが入ってるってことは、ちゃんと使えるってことだろ?なら、どんな高級ホテルのスイートルームだって心配無用で泊まれるさ。」
「そういうとこもリアルを継承してるってわけか。なるほどね。……うん、俺のもあるな。」
「俺も。」
「俺もだ。」

それぞれが財布を探り、同じ色のカードを取り出した。

「じゃあ、これで武器でも何でも好きなだけ買えるな。」
「だな。」
「ホテル内にショップがあるって話だし。」
「んじゃ、ひと息ついたことだしとりあえず装備をしっかり固めにいきますか。」

顔を合わせてニヤリと笑い、4人はそろって拳を握る。……と。

「「「「あれ?そういえば牧野は?」」」」

「…………。」

晴れやかな表情で話を進める4人をよそに、リビングの隅で何度も自分の財布をのぞいては首を傾げていたつくしがようやく口を開いた。

「ちょっと待って。今気づいたんだけど、ここの支払いってどうすんの?」

投げられた言葉に、4人が一斉に「何を言ってるんだ」という顔をする。

「どうって?そりゃ、メープルだから司が払うんでいいだろ。」
「おう、まかせとけ。」
「まかせとけって簡単にいうけど、払えるわけ?」

どうしてつくしがそんなことを言うのか、4人にはさっぱりわからない。

「払えるの?って俺様に言ってるのか?聞くまでもないだろ?」
「え。でもどうやって?ここ、こんなに豪華だし宿泊となったら相当コインが必要なんじゃない?」
「コイン?んなもの必要ねーよ。コレで払うからな。……って、たった今ここで話してただろうが。」
「あ、ごめん。聞いてなかった。っていうか、それなに?」
「何ってカードだよ。クレジットカード。」
「カード?」

疑問を大きく声と顔に出し、つくしはもう一度自分の財布を覗き込んだ。

「えっと花沢類。あたしの財布にはカードどころかコイン数枚しか入ってないんだけど。」
「「「コインが数枚!?それだけ!?」」」

驚いた司・総二郎・あきらが、つくしの財布を覗き込む。
たしかにそこには、コインがちゃりんと数枚だけ。

「………あ。」
「あ、って何よ?花沢類。」

「もしかしてリアルを継承、か?」
何か考えるように口を噤んだ類の横で、あきらが気の毒そうに呟いた。
それを聞き、つくしがふんっと鼻を鳴らし口を尖らせる。

「ちょっと花沢類っ!ここってゲームの中よね?ゲームといったら、ふつうは手持ちコインなんかの初期設定はみんな同じじゃないの?あんたたちが揃ってブラックカードなら、あたしの財布にだって入っててもいいじゃない?」
「うーん、そうなんだけど……。」
「けど?」
「今はまだテスト運用中だから、個人データの読み込みを最優先させてたんだよね。プレイヤーの個別スペックをどこまで反映させるかっていうのも、VRゲームをよりリアルに楽しませるためには重要なファクトじゃないかってことでさ。個々のスペック反映については、テストプレイの結果を踏まえて最終調整するつもりだったんだ。だから……。」
「つまりキャラとしての基本設定はきっちり統一済だが、プレイヤーの個別スペックは完全にリアルに即しているってことか?」
「ん。たぶん。」
「つ、ま、り、あたしはゲームの中でもやっぱり貧乏っていうこと?ったくありえないっつーの!」

薄い財布をぱさぱさ振りながらぼやくつくしに、F4が揃って同情の目を向ける。
……と。
ピッコーン!
突然ニカッと笑ったつくしの頭の上で電球マークが光った……ように見えた。

「あたし、ちょっと宝箱探しに行ってくる。」
「「「宝箱!?」」」
「だって、ここってゲームの中なんでしょ?ほらよくあるじゃない。家の中に宝箱が置いてあって開けるとコインがざっくざく。開けた人のものになる、ってやつ。」
「いや、牧野。これ別にRPGってわけでもないから……」
「そんなの探してみないとわからないじゃない?よっしゃ、宝探しだ!」

なんだか妙に張り切って立ち上がりかけたつくしの肩を、司がぐっと押さえた。

「まあ待て、牧野。心配するな。わざわざそんなもの探さなくてもお前には俺がいるじゃねーか。」
「はあ?あんたがいるから何よ。」
「必要なものは俺が買ってやるから安心しろ。」
「あんたが?どうしてあたしの分まで?」
「どうしてってお前、ほら。俺たちはもうそういう仲だろ?」
「そういう?」
「忘れたのか?お前と俺はさっきあとちょっとで、ちゅ、ちゅ、ちゅ……「う、う、う、うるさ~いっ!余計なこと言うんじゃないっ、道明寺!ソレ以上何か言ったら、パルプンテするからねっ!」」

どかっ

頬を真っ赤に染めたつくしにまわし蹴りをくらい、司の顔がうぐっと歪む。

「ってえな。それにパルプンテってお前、バカなこと言うんじゃねーよ。だいたいお前はなんでそんなにいぼじなんだ。」
「はあ?あたしはいぼ痔なんかじゃないわよっ」

「「司……いぼじじゃなくて意固地。」」

痴話げんかのような二人のやりとりを、半ばあきれ顔で見ていた総二郎とあきらの口から小さくつっこみがはいる。
一方類は、さっさとソファに転がってどこ吹く風だ。

「いぼじも意固地も同じようなもんだろ。と、に、か、く、さっきのお前は、俺がちょっと怪我しただけで死にそうな声だして、泣きべそかいて、道明寺、道明寺って……そんなお前が俺はたまらなく……」
「あーもうそれ以上言うんじゃないってば!それとこれとは話が別!自分の面倒くらい自分でみますっ。あたしはね、バーチャルだろうがなんだろうが身の丈に合った生活を心がけたいの。あんたにおぶさるつもりなんてないから!」

肩を軽く抱こうとしていた司の腕の中からするりと身を翻し、つくしは仁王立ちした。
もっともなんだかんだ言いながら、その目元はまだほんのり赤い。

「とっ、とりあえず、宝箱探してくるからっ!」
「おいっ、牧野。待て。待てって。」

「あーあ、怒らせちまった。」
「ああなると牧野は頑固だぜ。」

部屋を出ていこうとするつくしに、追いかけようと焦る司。
二人の足を類の声がぴたりと止めた。

「牧野、待って。」

「何よっ。花沢類。」
「牧野はさっさとこのゲームから抜け出したくないの?」
「抜け出したいに決まってるじゃない。」
「じゃあ、素直に司の言うことを聞いて。」

はあ?と眉間に皺を寄せ、何か口を開きかけたつくしを、類が片手を挙げて制する。

「正直、レベル的にはそれほど高くないはずのこれまでの戦いも決してラクじゃなかったろ?となるとこの先、どれだけキツイバトルが待っているかわからない。第一どのくらいレベルアップしたらラスボスに会えるのかだってわからないんだ。そうなると、この先要になってくるのは牧野の力なんだよ。」
「あたしの……力?」
「そう。だって、牧野はこのパーティで唯一の魔法使いだろ。回復魔法も防御魔法も使えるのは今のところ牧野だけ。戦いが長引いたりハードになることを考えると、牧野には、常に最強最良の状態でいてもらわないと困るんだ。」
「でも…………。」
「わかった。じゃあ、牧野の分は俺が払う。」
「花沢類が?」
「だって初期設定の調整をしなかったのは俺だからね。完全に俺のミス。牧野が怒るのも当然だし。そもそもこんなことに巻き込んだ責任もある。」

だから、いっしょに買い物でもいこ?
困ったように立ち尽くすつくしの手を、いつのまにかベッドから立ち上がった類が掴もうとする。
それを横から伸びてきた右手が、がしっと取り押さえた。

「ちょっと待て。類がいいなら俺でもいいだろ。牧野、いいから俺に払わせろ。お前を守るのは俺………「あーもう、わかった、わかったから。」」

はぁと大きく息をつき、つくしはゆっくり顔を上げた。

「えっと道明寺、お世話になります。よろしくお願いします。」

素直に頭を下げたつくしに、司の頬がさっと朱に染まる。

「な、なんかアレだな。そうやって頭下げて挨拶されると、なんだかまるで嫁入りみてーだな。」
「ばかっ!何考えてるのよっ!」

ぽかっ

つくし渾身のゲンコツをくらい、司は思わず眉間に皺を寄せながら、それでも嬉しそうににやりと笑ったのだった。



そうして、十分すぎる武器や装備を調えて、安心しきった5人が各自健やかな夜を過ごした翌朝――――。
予想通りというべきか、否か。
始まったバトルはやはりキツイものだった。



………おもに司にとって。




↓オマケ↓がありますのでこちらもどうぞ

Comments - 8

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スリーシスターズ  

こんにちは。
たろささん、はじめまして。

大爆笑です!
思わず吹き出してしまいました!
個人設定優先にしたとはいえ、持ち金にこんなに差が出てしまうなんて!
F4はどこの世界に行ってもお金持ちなんですね。
ブラックカードが4枚・・・実物見てみたいです。

RPGだと確かに宝箱を見つけるとコインが入っていたりしますけどね。
ここは類くんが作った仮想現実のですからね。
F4に宝箱を探すという概念がないですよね。
諦めましょう、つくしちゃん。

司くんつくしちゃんと2人でBattleしてからはつくしちゃんが気になって仕方ないみたいですね。
類くんはいつもスマートにつくしちゃんを誘うんですけどね。
司くんにはそんなことは無理ですね。

各自健やかに夜を過ごしたはずなのに司くんは・・・
1人になって悶々とつくしちゃんのことを考えていたのでしょうかね!?
敵とBattleするよりもきついBattleな夜になってしまったみたいですね。

5人のつかの間の休息、私も休息が取れました!
大爆笑なお話楽しかったです🎵

2017/10/19 (Thu) 16:36 | EDIT | REPLY |   
たろさ  
スリーシスターズさま

こんにちは♪
さっそくの、そしてとっても嬉しいコメントありがとうございました!

こんな感じでも大丈夫かな?とドキドキしながら書いたお話だったので、『大爆笑』の文字にほっと胸をなでおろしました。
楽しんでいただけて、私もとっても幸せです♡

それにしても「敵とBattleするよりもきついBattleな夜」とは!!!
コメントを読ませていただいた瞬間、思わずこちらが大爆笑しちゃいました。
おっしゃるとおり司くん、この日は間違いなくつくしちゃんとのあんなコトこんなコトを妄想して眠れなくなってしまったと思います(o ̄▽ ̄o)ニヤリ

さて、5人の「Battle」はまだまだ終わりません!
どんな"敵"が現れるか、これからますます盛り上がっていく続きをどうぞお楽しみに♪

2017/10/19 (Thu) 17:16 | EDIT | REPLY |   
まりぽん  

たろさ様

こんにちは。
仮想空間の世界で次々に現れる敵と戦い続けるつくしとF4戦士たち。
お疲れさん。
宿代がらみで初期設定とか一部は現実と変わらない設定などなどが
判明して面白いですね。
そして、そんな時でもつくしらしさはさすがに逞しいこと。
ゲームの中なら『お宝』があるはず!って早速ひらめくあたりには
思わず笑ってしまいました。
さあ、パワーを貯めて次の戦いへ!

花男祭りに参加ありがとうございます。

2017/10/19 (Thu) 18:43 | EDIT | REPLY |   
たろさ  
まりぽんさま

こんにちは!コメントありがとうございます♪
ちょっと異色な「Battle」シリーズもだいぶ話が進んできましたが、いかがでしょうか?
楽しんで頂けていたら嬉しいです^^

さて、このバーチャル世界。
これから先5人のレベルがアップすればするほど戦いも過酷になっていく……はず?
まずはこのメープルでしっかり英気を養って、次々現れる"敵"にかっこよく勝利してもらいたいと思います♪

どんな世界にいても、つくしはやっぱりつくし。そしてF4はF4。
ときに逞しく、ときにかっこよく。
窮地を切り抜けていく5人の今後の「Battle」をどうぞお楽しみに!

2017/10/19 (Thu) 19:34 | EDIT | REPLY |   
kachi  

たろささま
おはようございます(o^^o)
はじめまして♪
お話の更新ありがとうございます😊

うふふ
5人の関係がとっても楽しいですね♪

ゲームの仮想世界でもお財布事情がリアルに忠実だと私もつくしちゃんみたく怒っちゃうかも(笑)

類くんの説得に納得してくれて司としては助かりましたね♪

そして、最後の一文がかなり気になってます!
司にとって、ってどんなバトルが待っているのかしら?
続きが楽しみです!

2017/10/20 (Fri) 06:42 | EDIT | REPLY |   
たろさ  
kachiさま

おはようございます♪
こちらこそお話を読んでくださっただけでなく、コメントまでくださりありがとうございます(´▽`*)

ふふふっ、確かにお財布事情がアレだったら、私も絶対ふてくされちゃいます。
でもF4が助けてくれるなら……お財布がアレでも大歓迎♪ですけどね!

さて、これからますますハードになっていく「Battle」。
この先いったいどんな様相を見せるのか。
アクションあり!スリルあり!そして笑いあり!の続きをどうぞ楽しみにお待ちくださいね♪

2017/10/20 (Fri) 10:48 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

たろさ様
はじめまして♡
笑えるお話ありがとうございました(*^^*)♡

リアルは継承で、財布の中にはコインが数枚( *´艸`)
これはつくし、怒るのもわかりますよね。

ゲームの中でも身の丈に合った生活をするというつくし。
順応性のある女ですなぁ(笑)逞しい♪

司のちゅ、ちゅ、ちゅ・・・が笑えました( *´艸`)
その事実を恥ずかしがって、大騒ぎしてごまかすところが
実につくしらしいですよね(笑)

司、いぼ痔と意固地は流石にちゃうやろー(笑)

そんな中、類はつくしを宥めるのがさすがに上手いですねぇ。

素直に「道明寺、お願いします。」というつくしに
「嫁に来る挨拶みたいだな。」と照れる司。
司、オモロすぎる。

可愛い司と、怒るつくしとの掛け合いが軽快で
とても楽しかったです(*^^*)♪

続き楽しみにしてます♡

2017/10/23 (Mon) 02:39 | EDIT | REPLY |   
たろさ  
さとぴょんさま

こんにちは、そしてはじめまして♪
お話読んで下さりありがとうございました^^

つくしちゃんって原作でもほんとに逞しいですよね!
きっとどんなところ、どんな世界に飛ばされてもつくしちゃんの雑草根性は永遠に不滅。
気合で苦労を乗り越えていっちゃうはず!

そうそう、「いぼ痔」。
たぶん司くんは「いぼ痔」自体どんなものか知らないと思います!
だからこそ出てきた“似たようなもん”発言!……ということでお許しを^^;

ふだん司くんを書くことがほとんどないので違和感ないか心配だったのですが、可愛いと言っていただけてほっとしました。
楽しんでいただけてよかったです❤

まだまだ続く「Battle」模様。
続きもどうぞお楽しみに!

2017/10/23 (Mon) 04:14 | EDIT | REPLY |   
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