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「つくしちゃんと交換だ」

そんな言葉と引き換えに手渡された茶封筒をあきらは見つめる。この中には誰の名前が?逸る心を抑えながら自室に向かった。

黒革のチェアに腰掛けると、茶封筒から報告書の束を取り出した。一枚一枚紙を捲り概要を確認していく。

無意識に親指の背を噛みながら、一字一句見逃さないように文字を追う。


一人一人の人物名が浮かび上がりながら頭の中で動きをつけていく。

「チッ」

一つに纏まりそうなのに纏まらない思いに駆られて思わず舌打ちがでた。気合いを入れるかの様に己の頬をパシッと一つ叩いてからパソコンに向かった。

あきらのパソコンはMIMASAKAのメインコンピューターと繋がっている。MIMASAKA のコンピューターに入っている情報は、パスコードを入れれば見れる様になっているのだ。

あきらは、部下に命令を出して撮らせておいた狙撃後のまき乃の画像を開いた。

「ひどい有様だ____んっ?」

添付された資料にはまき乃の防弾ガラスの厚さと共に銃痕から推測される様々な情報が書かれていた。ザッと目を通せば、あきらの中の警戒音が鳴り出す。夢中になって、読み込めば読み込むほどに、わざと粗を作っている感が拭えないのだ。

本当に殺すつもりなら____アンチ・マテリアルライフルを使うはずだ。
だったら、狙撃した人間がヒットマンじゃなかったのか?

否 それは違う。

報告書には 城ノ内と共に黒咲の名前が挙がっている。黒咲は中国マフィアと繋がりの深い組織の一員だ。本気で牧野を殺したければ、いくらでも手を打つことは可能だろう。それに、まき乃は表通りに面しているわけではない。狙えるのは一箇所のみ。余程狙撃の腕がよくなければ、あの店に銃弾を撃ち込むことなど無理だ。

あきらはそこまで考えた時、牧野だけが目的ならば店を狙撃することは無い事に思い当たる。
店の上にある部屋に戻った牧野を狙った方が狙いやすいのではないか?

己に置き換える。自分がもしヒットマンだとしたら?

トントントン

爪先で机を叩く音が無音の空間に鳴り響く。

渇いた喉を潤そうとグラスに手を伸ばした瞬間___報告書がバサリと落ちた。手を伸ばして報告書を拾い上げる。

「うんっ?」

あきらの目の前にある人物の名前が飛び込んできた。

カク_____この男、もしや 郭のことか?
莉愛の報告書には、黒咲とたった一度だけ、しかもほんの数分だけ何かを渡すのに会っていた人物だと書かれている。

纏まりきれなかった考えが頭の中で一つに繋がっていく。

ゴクリと唾を飲み込む。

「親父の言っていたお前たちはまだ甘いなはこれだ」

黒咲は覚醒剤密売そして武器販売を主として、ここ数年急激に勢いを伸ばしてきている。

郭____この男が関与しているとしたら?

牧野を狙うふりして…本当の目的が違うと言うことか?

一体なんのためだ?

あきらは、この男の素性がハッキリと分からず、人物像が描けないでいた。

眉間に皺を寄せながら、手元の電話を引き寄せて電話を掛ける。まるで、まっていたかのようにワンコール目で取られる電話。

『司、悪い、どうしても気になることがあるんで至急調べてもらえないか?』

『至急?城ノ内と黒咲なら動きは押さえてあるぞ』

『あぁ、だが黒咲の会ってた郭と呼ばれていた男がどうしても気になるんだ。杞憂であればそれに越したことがない。こいつの素性が知りたい。お願いできるか?』

『あぁ、解った____郭だな?』

『あぁ、手間かけるがよろしく頼む』

あきらが電話を切ろうとした瞬間

『___なぁ、牧野はどうしてる?怖がったりしてねぇか?』

カリスマ専務と呼ばれる司の心細そうな声を聞き

『気丈に振舞ってるだけかもしれないけど、割合落ち着いてるかな。取り敢えずこの件のあとに会いにくればいいから。なる早で頼むよ』


司との電話を終えると、あきらは類にも連絡を入れた。

『あぁ、あきら どうした?』

森山の大老と対峙が終わったばかりのはずなのに、電話口からはいたってのんびりとした声が聞こえてくる。

『悪いが、まだ角館に居て欲しい』

『どういうこと?』

『まだ不確かなんだけど、なんだか嫌な予感がするんだ。取り敢えず司に調べてくれるようには頼んである。ちょっと待機してて欲しいんだけどお願い出来るか?』

『うんっ?確証もなく忙しい俺を足止め? クククッ、じゃぁ、そっち帰ったら牧野に会わせてもらおうかな』

楽しげに言ったあと、声のトーンが変わり

『まぁ、あきらの直感を信じるよ。それに美作の邸なら日本のどこよりも安全だしね』

『あぁ、悪い。あとでまた連絡する』


フッ、思わずあきらの口から苦笑が溢れる。
どいつもこいつも、牧野、牧野、牧野なんだよなと。そこまで考えて__

「ははっ、俺もか……揃いも揃って、惚れちまったってワケだよな」

自分たちの他にも牧野に惚れていた男は沢山いた。だが、少しでも怪しい噂がある男達はいつの間にか消えていた。

「森山の爺さんの手引きだよな? ___それにしちゃどうして俺は大丈夫だったんだ?」

美作が裏社会に通じてることは、森山も勿論知っているはずだ。

「そうか___父さんのおかげってやつか」

美作の父千紘は、裏社会だからこそ秩序が大事だ。覚醒剤の密売は何よりも人間そのものを壊すとして忌み嫌い、世の中から撲滅しようと裏社会のボスを目指し日々健闘しているのだ。

「綺麗なモノだけじゃ世の中は回らない……か」

千紘の口癖だ。

「綺麗なもんだけじゃ無理だってことは、森山の爺さんもよく知ってるってことか……俺ら四人、少しは爺さんに認められてるってことだよな」

こんな時だと言うのに、あきらの顔に笑みが広がる。

同時に……牧野つくしは、世の中を担う男の伴侶になったとしても、充分にやっていける器だと森山が太鼓判を押している人間だということだ。

「くぅっ~、やっぱ、牧野が欲しいな」

あきらの口から出た真の言葉。

「でも、先ずはコッチを解決だよな」

莉愛の勤めるクラブ一帯を仕切る男に連絡をして、莉愛が郭を見た日にちの映像を送ってもらう手筈を整えた。

あとは、郭の写真が入手出来れば顔認証システムが使える筈だ。上手くいけばいくつかの画像が手に入るだろう。歩行した姿を入手出来れば、歩容認識システムが使える。
歩容認識システムが使えれば、ある程度の足取りを追える筈だ。


ピコーン
タイミング良く司に頼んだ情報がパソコンに届き、同時にベルがなる

RRR
「あきら、こいつビンゴだ。いま、こいつの顔写真や詳しい経歴を洗ってる。小一時間もすれば、もっとあがってくるはずだ。総二郎捕まえて俺らも角館に行くぞ』

MIMASAKAのビルで落ち合う約束をして電話を切った。


あきらは、軽く背伸びをしたあとに、手元の時計を見る。
総二郎に与えた時間は、とうに過ぎている。忠実な部下は1秒の猶予も与えずに総二郎を追い出しただろう。

「残念無念ってやつだよな」


嬉しそうにつくしに会いに来た総二郎を思い出し、有事のときだというのに、ほんの少し意地悪な微笑みをを浮かべながら総二郎に電話した。

『ヘリをMIMASAKAに用意する総二郎来てくれ』

早口で要件を伝え電話を切ろうとした瞬間

『あきら、つくしちゃんは……どうしてる?』


『どうもなにも、最後にあったのは総二郎だよ。って、牧野となんかあったのか?』

『あっ、いや……』

歯切れの悪い総二郎に、なにかあったのだろうと察しをつけたが深くは追わずに

『そっか、じゃ、全部綺麗に終わらせて牧野安心させような』

そう言って電話を切った。



窓の外に、ぽっかりと浮かぶ月を見ながらしばし思案にくれたあと、あきらはつくしの部屋に向かった。

※※※

トントントンッ

「ごめん、牧野もう寝てるかな?」

「あっ、まだ寝てません」

「じゃぁ、ちょっといいかな?」

あきらの言葉につくしはドアを開けた。
心なしか沈んだ顔したつくしを連れて、あきらが向かったのは、夢子が丹精込めて育てている薔薇が咲き乱れる温室だった。

薔薇の甘い匂いに、つくしの鼻先が自然と蠢く。

「クンクンクンッ、クンクンクンッ いい匂い」

「ぷっ、その顔」

つくしが振り向けば、あきらの瞳は弧を描き優しく笑っている。

「あれっ、あたし変な顔してました?」

「あぁ、世界一可愛い顔してた」

「えっ/////」

頬を赤らめるつくしに

「あっ、ごめん」

慌てて首を振りながら

「うんと、冗談じゃないし、本気でそう思ってる。ただ、この前のプロポーズもどきは忘れて欲しい」

「えっ?」

「あぁっ、なんて言えばいいのかなぁ。うんとなんだ、その、こんな状況下であんな事いうなんて、なんかフェアじゃない気がしてさ。だから、一先ず保留っていうかなんて言うかさ。それになりよりあんな怖い思いした後、そんな世界とビシバシビシバシ関係する俺からの告白なんてって思ってさ。いや、それ以前に、そもそもそんな事で思い悩ませることじゃないよなってさ。あっ、でも、俺が牧野を思ってる気持ちには嘘はない。一生一緒に居れたらいいなと思ってる。でも、それは、俺だけじゃなくて、彼奴らも一緒で____あっ、だからいま、そんな事言ってる場合じゃないよな。あぁ、ゴメン」

必死に言葉を口にするあきらをつくしは眺めた。

「ぷっ」

失礼だとは思ったけれど、つくしの口から本当の笑いが溢れた


「美作さんって、美作さんって___本当によくわかんない人ですよね」


「エッ?」

まさか、自分の言葉にそんな返しが待っていると思わなかったあきらは心底驚きながら、つくしの顔を見た。

「あっ、ごめんなさい。でも、でも、ぷっ」

なおも笑い続けるつくしの笑顔を見ていたら___意味がわからないままのあきらもまた声をあげて笑っていた。


暫く二人で笑ったあと


「俺さぁ、牧野がそうやって笑ってる姿を見ると凄く癒されるんだ。なんていうのかな、俺も頑張ろうっていう気持ちになるって言うかさ。あっ、でもこの気持ちは俺だけじゃなくて、あいつら三人ともが一緒だ。……いやっ、あいつらだけじゃないかな。まき乃にやってくる老若男女みんなそうだと思う。だからさぁ、牧野にはいつでもにこやかに笑って欲しいって言うかさぁ。俺の側でとかなんとかっていうより、牧野が心底笑える相手を見つけて欲しいっていうか。うん、笑っててほしいや。って、なんか、支離滅裂だよな」

「美作さん___ありがとう」

「あっ、いやっ、俺、礼言われるような事なんにもしてないって」

つくしは微笑みながら首を振り

「自分の魅力発見のお礼?____って、魅力なんて思い上がり過ぎちゃいます?」

「魅力発見もなにも、俺にも総二郎にも、もちろん司にも類にも、すげぇ魅力的だって」

「あ、ありがとうございます」

鼻の頭をかきながら、ペコリと頭を下げるつくしが、愛おしくて、愛おしくて、抱きしめたくなる。抱きしめるのを我慢をするために、あきらは自分の掌をギュッと握りしめた。


「牧野」
つくしの名を呼びながら柔らかく微笑みを浮かべ

「勝手な願いで申し訳ないけど、俺ら四人が正しい道を進めるよう、道しるべになってくれ」

「道しるべ?」

「あぁ、俺ら四人、牧野に出会えて、凄い変わったんだ。昔は四人が四人とも褒められた生活なんてしてないからさ」

「みま、さ、かさんも?」

「あぁ、総二郎とならんで女侍らせてた。いやっ、俺のがたち悪いかな?」

驚きの表情で、あきらの瞳を見つめるつくしに

「意外?……それともそうでもない?どっちにしろ事実に変わりがない。開き直るわけじゃないけど、過去はどんなに悔やんでも変えられないからね。出来れば目の前に映る俺ら自身を見てくれたら嬉しいな…………なんて、勝手な言い分なんだけどな」

静寂が辺りを包む、つくしは逡巡したあと

「目の前の……その人自身をですね……」

つくしは自分に言い聞かせるように頷き、そして大きく笑って

「ですよね……人って、日々成長してますもんね」

あきらは微笑みを浮かべ

「夜遅くに本当ごめんな。……今晩は、なかなか寝付けないかもしれないけど……ここなら日本中で一番安全だって胸を張って言えるから、ぐっすり眠ってくれな。おやすみ」

つくしの頭をポンポンと二つ優しく叩いた。

「おやすみなさい。また明日」

また明日……幸せな言葉だと噛み締めた。





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Comments - 10

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スリーシスターズ  

おはようございます。

黒幕が徐々に見えてきましたが、目的がまだ分かりません。
誰かと誰かの利害が一致してこんな大がかりな計画が練られたのでしょうかね?
F4がそれぞれの得意とする分野で情報を集めてきました。
凄いですよね。
4人とも企業の経営者とか茶道の家元には見えませんね。
国家の秘密諜報員みたい。

つくしちゃんを守りたい気持ちも心配する気持ちも4人同じ。
早くつくしちゃんに会って安心させたいのも4人同じ。
早く黒幕を封じ込めることができますように。

4人ともかっこ良すぎますね~❤
(でも一番は変わっていません!)




2017/10/20 (Fri) 08:10 | EDIT | REPLY |   
ずき  

asuさんこんにちは!

類君愛は変わらないけれど、それよりもお話の面白さにハマってます!
しかも皆カッコいいしね♪
それにしてもあきら君のおうちが都内で一番安全だと言うことを今回初めて知りましたよwww

2017/10/20 (Fri) 11:30 | EDIT | REPLY |   
asu  
スリーさま

四人が四人とも魅力的ですよね。
うふっ、私もそこからはじまりました。(悪魔の囁き(笑))

2017/10/20 (Fri) 18:38 | EDIT | REPLY |   
asu  
Re: ずきさま

そうそう、バラの園は仮の姿で(笑)
ウフフ❤

2017/10/20 (Fri) 18:40 | EDIT | REPLY |   
kachi  

asuさん
こんばんは!
お話の更新ありがとうございます😊

あきらくん
自分のつくしへの想いを告白しながら、自分だけじゃなくて他の3人も同じ気持ちって必ず言っててほんと優しいですね♪
話し方も可愛くて、いつもは、冷静なお兄さんなのに一生懸命伝えようとおしゃべりしていて頑張って!と言いたくなりました^ ^
こういう危機的状況のつくしの心理を利用しないあきらくんてカッコ良いですね。

他の3人だってつくしのそばにいたいし、出来ることなら自分の家で守りたいと思っている。
だけど、あきらくんやあきらくんの家の安全性を信頼して任せてくれてそれぞれ自分たちのやるべきことをやってる。
そういう4人の絆が素敵だなと思います。

2017/10/20 (Fri) 20:38 | EDIT | REPLY |   
asu  
Re: kachiさま

伴走ありがとうございます❤

見守るあきら‼
好きなんです(*^^*)

ムフ


一途な男に見守られるつくし❤なりたいです

2017/10/20 (Fri) 23:17 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

asuhana様♡
あきらのたくさんの表情を感じるお話
ありがとうございました(*^^*)♡

飼料を見ながら真実を探るあきら、カッコいいですね。

4人との連携プレーもいい感じですね。

つくしに俺たちの道しるべになって欲しいと言うあきら。

本当に笑顔でいられる場所で笑ってて欲しいと

プロポーズまで撤回するあきら。

そこは撤回せんでもいいんちゃうの?と思いますがそこがあきらなのかな。

純粋さと優しさが、じんわり伝わるあきらでした。

続き楽しみにしてます(*^^*)♡

2017/10/23 (Mon) 04:57 | EDIT | REPLY |   
asu  
さとぴょんさま

伴走ありがとうございます❤

あきら、押しが弱いのよね~(笑)
それが良さでもあり、悩ましいところでもあり?

ムフ

2017/10/23 (Mon) 08:29 | EDIT | REPLY |   
ノエノエ  

asuさん

こんばんは。
コメントが大変遅くなり申し訳ありませんでした💦

あきらくん「自分がヒットマンだとしたら?」の思考が働く辺り、美作の人間ですね~(≧∇≦)司くんも類くんも総二郎くんもこういう時のあきらくんの直感を信じているからこそ、あきらくんの指示に従う。F4のリーダーの様!あきらくんの本領発揮ですね!
本心ではつくしちゃんを強く手に入れたいと思いつつも、つくしちゃんの現在の状況と自分の立場を考えてプロポーズを撤回する。しかも、F4全員がつくしちゃんを想っていると伝える…あきらくんは本当に優しくて良い人ですね。
つくしちゃんもこの想いに応えられるよう「その人自身」をしっかり見て、一番大好きな人を選んでくれるといいですね。

続きのお話も楽しませて頂きます(*^^*)

2017/11/09 (Thu) 23:52 | EDIT | REPLY |   
asu  
ノエノエさま

ノエちゃん忙しいのに、コメントありがとうねーーー

romance分岐で類類ラブリーなのでぜひ楽しんでねーーー

2017/11/10 (Fri) 16:19 | EDIT | REPLY |   
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