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おかしい。
全くもっておかしい。

デートの手応えはまずまずだったはず。
なのに何で何のアクションもねぇんだ?
つーか、それどころか、なんか避けられてねぇか?

デートを終えた総二郎はその後もまき乃へと足を運んでいた。けれどつくしは明らかに様子がおかしい。
恥ずかしがって避ける場合もなくはないが、どうもそうではないらしい。

デートの最中に生じた違和感。

総二郎は考えすぎと思いながら策を講じた。
そしてその考えは間違ってはいなかった。


一連の事件も解決し、総二郎はホッと息をついた。
何よりつくしが無事で良かったと思う。
怖い思いをしたかもしれないが、今つくしが目の前で笑っている。
その事実がどんなに嬉しい事か。



リニューアルしたまき乃に通う日々が始まった。
まき乃に戻ったつくしは以前にもまして輝いて見える。



総二郎は美作邸の東屋でつくしが言おうとしていた言葉の続きが気になって仕方がなかった。

もう一度きちんとつくしと向き合いたい。
自分の思いをきちんと伝えたい。

あの日からずっとそう思い続けていた。

改装直後のまき乃で偶然つくしと向き合う事が出来た日。
そんな話になったにも関わらず、どうしても聞くことが出来なかった総二郎は自らその機会を放棄してしまう。つくしの言葉の裏に何かを感じていたのに。
そして嫉妬心を抱いた結果…つくしを傷つけてしまったかもしれない。

そうなればいくらつくしが明るく振る舞っていようと、総二郎は自分から尋ねることは出来ずに時間だけが過ぎていった。



しかしこの日、思いがけずそのチャンスを掴むことになる。


まき乃での楽しいひとときを過ごす4人はこの日最後の客となった。後ろ髪を引かれながらも笑顔でつくしに礼を告げ店を出ようとしていた。

「西門さん……。」

心細げなつくしの小さな声が聞こえた。
総二郎は足を止め振り返る。
戸惑いの表情を浮かべるつくしに総二郎は微笑みかける。

「つくしちゃん、どうかした?」

総二郎がそう声をかけるなか、類とあきらは足を止め2人の様子を窺い、松葉杖をつく司もまた動きを止めて総二郎を睨んでいる。
つくしの視線はそんな3人に向いていた。

「先に行っててくれ。」

総二郎はそう言ったがそう簡単に3人が引く訳もない。それを見越した上で総二郎は更に言葉を繋げた。

「まさか盗み聞きなんて無粋な真似、しねぇよな?」

釘を指すように言われたその言葉に3人は何も言い返せない。それぞれが総二郎を一睨みし、つくしに声をかけ笑みを浮かべて店を後にする。

強張った顔をしているつくしの手を引き、総二郎は手近な椅子へと座らせる。

「つくしちゃん、どうしたの?」

そう言いながら総二郎の頭の中にはあの日の出来事が甦る。

「つくしちゃん、ちゃんと俺を見て?」

引き留めたものの黙ったまま俯くつくしに総二郎は堪らず声をかけた。

「俺は本気だよ。からかおうなんて思った事は一度もない。
あの日も…気持ちを抑えきれなくなってつい…やり過ぎたって反省してる…。

つくしちゃんが好きなんだ。
だから、ちゃんと向き合ってほしい。」

真摯なその声をつくしは黙って聞いていた。
大きな瞳はしっかりと総二郎を捉えている。

「あの…私…謝ろうと思って……。
あの日、私…西門さんのこと傷つけちゃいましたよね……。
あの日の西門さんの寂しそうな顔が忘れられなくて…。
自分が見てきたものを信じればよかったのに、どうしても気になって…。でもそれが西門さんを傷つける結果になってしまって、ずっと後悔してたんです。
本当にすみませんでした!!」

テーブルにおでこがついてしまうほどに頭を下げるつくしに対し、総二郎は苦笑いを浮かべていた。
告白したことがつくしの中で完全にスルーされているのだから当然だ。

「つくしちゃん、頭上げて?
ほら…あんなことしちゃったしさ……。
甲斐の件は悪いのは俺なんだから。
過去のツケがこんな形になるなんてね。
逆に俺の方がつくしちゃんを傷つけたんだよね?
ごめんね。つくしちゃん。」

つくしが頭を上げると、目に飛び込んできたのは頭を下げる総二郎の姿だった。

「ぷっ、あははっ。」

総二郎は訝しげに頭を上げる。

「つくしちゃん?」

「あっ、ごめんなさいっ。笑うところじゃないですよね。
でも私たち頭を下げあいながら何やってるんだろう?って思ったら可笑しくなっちゃって…ふふふっ。」

「くくっ、ほんとだね。」

二人は目を合わせて笑い出す。


「西門さん。」

一頻り笑ったつくしは総二郎の名前を口にする。

「ん?」

「私…西門さん好きですよ。
でも今はお返事は出来ません。
もう少しあなたを知ってからきちんとお返事したいです。
言っておきますけど、私…浮気なんて許しませんよ?
それでも…私にさっきと同じこと言ってくれますか?」

スルーされたと思っていた総二郎の言葉はちゃんとつくしに届いていた。そしてOKではないがつくしは前向きにその言葉と向き合おうとしている。

こんな女他にいねぇよな…。

「もちろん。何度でも言うし、浮気もしない。
つくしちゃんが傍にいてくれるならなんだってするよ。」

今までそんな言葉は言ったこともない。
ただひとり、つくしだけが言わせることの出来る言葉。

「これからもよろしくお願いします、西門さん。」

「つくしちゃん、せっかくだから敬語はやめよう?
なんかさ、他人行儀な感じだと思わない?」

にっこり笑うつくしにそう告げる。
これまでどんな時も敬語を使っていたつくしに対する少しのわがまま。そして少しの意地悪でもあった。

「えっ、あっ…えーと…分かった!
じゃあ二人の時はそうし…そうする事にし…じゃなくてそうする!」

しどろもどろなつくしの言葉が可愛くて面白くて、総二郎は肩を揺らし笑う。

「もうっ、笑いすぎ!!」

「ごめんごめん。あんまり可愛くて、ついさ。
これからよろしくね、つくしちゃん!」

「よろしく…ね…西門さん!」



二人のこれからはまだ不確かなもの。
約束なんて何ひとつない。
けれども二人の笑顔は輝いていた。




1_Gip.jpg
Illustration by MS.Hana Kawamori




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Comments - 6

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スリーシスターズ  

こんばんは。

総二郎×つくしのお話も類×つくしのお話同様、1話完結は読んだことありましたが、連載は初めてです。
どきどき。

いつもは女の人になれている総二郎くんがつくしちゃんのことになると弱気になってしまう所が、なんか可愛いですね。
私の中の総二郎くん像とのギャップが凄いです。

甲斐さんの言葉を真に受けてしまい総二郎くんを傷つけたと思い謝りたかったつくしちゃんと、そのことをちゃんと話してつくしちゃんに真剣な想いを伝えたかった総二郎くん。
こうして2人で向き合って話すことができて良かったですね。

これから2人でゆっくり愛を育んでいくんですね。
総二郎くんは、和が持つ凛々しさと柔らかさでつくしちゃんを包むような感じを持ちました。

2017/10/23 (Mon) 18:42 | EDIT | REPLY |   
Gipskräuter  
スリーシスターズサマ

こんばんは~!
コメントありがとうございます♪

うふふ~、嬉しいです(〃ω〃)
是非是非楽しんでくださいね♪

百戦錬磨の総ちゃんですが、それは本気じゃないですからね~。
本気の相手には慎重になりすぎて、どう接すればいいのか分からないようです( *´艸`)
本当は?こんなかわいい一面もあるんですよ(笑)

甲斐さん事件??
心残りがありまして、こうして最終話に持ち出してしまいました(*´σー`)
もう思い残すことはありません(((*≧艸≦)ププッ

ほんわかスタート地点に立った2人を後に控えたメンバーさんが、さらに素敵に仕上げてくださっています(///ω///)
是非是非最後までお付き合いくださいませ♪

2017/10/23 (Mon) 19:41 | EDIT | REPLY |   
kachi  

Gipskräuterさま
こんばんは!
お話の更新ありがとうございます😊

総ちゃん編ラストですね♪

ふふふ
可愛い2人でほのぼのしてますね〜
ラストのイラストとお話の雰囲気がとてもあっていて素敵です^^

つくしちゃんが、総ちゃんの真剣な想いにちゃんと向き合ってくれて前向きになっていることを伝えてくれてよかったですね♪
4人揃っている時に総ちゃんだけに声掛けてくれたのも嬉しかったのではと思いました^^

2017/10/24 (Tue) 23:58 | EDIT | REPLY |   
Gipskräuter  
kachiサマ

こんにちは!
コメントありがとうございます♪

うふふ~♪
よかったです。

実は最終話リレー、参加予定じゃなかったんですが急遽参戦となりました(笑)
なので素敵と言っていただけてとっても嬉しいです♪♪

イラストはリクエストしちゃいました(〃∇〃)
素敵なイラストでもうルンルンです♪感謝感謝!

1話はふたりが向き合うところからのスタートで出遅れてる感じ?ですが、どんどん素敵に仕上がっていきますので、是非是非お楽しみくださいませ~(*´ω`*)

2017/10/25 (Wed) 12:53 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

Gip様♡ チーム総二郎
ちょっと気弱な総ちゃんの魅力を堪能できるお話
ありがとうございました♡

「つくしちゃん」
この総二郎の「つくしちゃん」呼びに
やたらそそられるのは私だけでしょうか?(笑)

強気のイメージのある総二郎が
ちょっとおっかなびっくり、つくしに話しかける様子が
新鮮かつ、意外とツボでよかったです♡

二人の間にあった溝もなくなったようで
ほっとひと安心(*^^*)♡
総ちゃんの未来に温かい光を感じるお話
ありがとうございました♡

2017/11/04 (Sat) 18:01 | EDIT | REPLY |   
Gipskräuter  
さとぴょんサマ

コメントありがとうございます♪

いつものからかう感じの『つくしちゃん』ではなく真面目につくしちゃん呼びするのは新鮮ですよね(笑)
パラレルならではでGipも好きです(o´艸`o)♪

本気だからこそ強気になれない総ちゃん。
やっぱり遊びとは違いますよ~(笑)

うふふ~♪
これはどうしても書きたくてかなりフライングして書きました(笑)
後からの辻褄合わせに奔走しましたが…。
でもでもこれで満足です♪♪

この後の展開も素敵ですよ~!
最後までお楽しみくださいね~(´∀`*)

お付き合いくださりありがとうございました(*`・ω・)ゞ

2017/11/05 (Sun) 02:38 | EDIT | REPLY |   
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